ストレングスコーチの知識茂雄です。
戦略的思考力の資質である「分析思考」について解説していきます。
根源的な欲求、動機づけ
「分析思考」を上位に持つ人の根源にあるのは、「なぜそうなるのか」「なぜそう言えるのか」を知り、筋が通っていることを確かめたいという欲求です。
原語はAnalytical。文字通り、物事を分析的に見る資質です。「分析思考」が大切にするのは論理性です。筋が通っている、理屈が通ることが大事なのです。論理とは、辞書によれば「事物の間にある法則的な連関」。
つまり、どんな事象にもそれが起こるべくして起こった原因があり、「分析思考」を上位に持つ人は、その原因と結果の因果関係を、客観的な事実の積み重ねで明らかにしようとします。
だから、感情のように理屈が通用しないふわふわしたものより、白黒がはっきりしている客観的な事実や数値のデータを大事にします。「だいたい」とか「たぶん」といったあいまいなものは信用しません。
客観的な事実として誰が何を言ったのか、数値は何を語っているのかを判断の拠り所にし、揺らぎようのないものから論理的な結論を導きます。今自分がやっていること、やろうとしていることにも、理屈で説明できることを求めます。
「これをやればこうなって、こうなるから、最後にこういう結果が得られる」と、自分の中で説明できて納得感があることが大事なのです。この「なぜ」を知って納得したいという欲求こそが、「分析思考」という資質の核心です。
振る舞いの特徴
筋を通したい欲求は、まず「なぜ?」と問う形で表れます。
「分析思考」を上位に持つ人は、ある意味、質問魔です。物事に対しては「なぜそうなるのか」、人に対しては「なぜそうするのか」と、理由が知りたくなります。そしてその理由が、論理的で筋が通っていることを求めます。何か問題が起こったときには「なぜ?」を繰り返し、根本にある本当の原因にたどり着こうとします。
数字が表の形で並んでいるものを好む人も多いですね。原因と結果の因果関係が明確で例外のないプログラミングのようなことも、この資質に合っているかもしれません。
何かを決めるときに、直感で動くことはしません。十分な情報を集め、そこから事実だけを抽出して吟味し、論理的に「これでいける」と納得してから動き出します。逆に言えば、脈絡なく話があちこち飛ぶ人は苦手です。「今なんのことを言っているの?」と突っ込みたくなります。
褒められるときも、「すごい!」「さすが!」といった感嘆符つきの褒め言葉はあまり響きません。何がどう良かったのかを具体的に言ってもらえると納得できます。周りの人が「分析思考」を上位に持つ人に納得して動いてほしいと思ったら、きちんとその根拠を示すことです。「◯◯さんが言っていたから」は理由になりません。
強みとして活かせている状態
この欲求が強みとして機能しているとき、「分析思考」を上位に持つ人は、複雑で混沌としたものから事実と真実を明らかにする人になります。
論理的に物事をとらえているので、「まずこれがこうなるとこうなる。次にこれがこうなるからこうなる。だから最終的にこうなる」と、順序立てて、筋道立てて説明できます。原因と結果を途中を飛ばさずに結びつけて説明できるので、複雑で難しいこともかみくだいてわかりやすく伝えられるのです。誰が読んでもわかりやすく、納得感を得やすい文章が書けるのも、この資質の特徴です。
「なぜ?」を問題に向ければ、根本原因の追求につながります。表面的な対症療法ではなく、根本的な解決策を見いだせるのです。たとえば何かの機械が故障したとき、あてずっぽうに部品を替えたりはしません。「ここがこういう不具合を起こしているから、その結果こういう現象につながっている」と、頭の中で因果関係がつながるまで、可能性のある箇所を絞り込んでいきます。
そして、冷静さです。事実とそうでないものが入り交じり、混沌としていて正しい判断が下せそうにないとき、何が事実で何がそうでないかを選り分けて整理し、事実同士を論理的に並べ替えて因果関係を明確にします。いわば思考の交通整理です。
誰かと誰かが感情的になって対立しているときにも、今起こっていることを冷静に分析して、論理的にその場に示すことができます。感情に振り回されず冷静に状況を把握するそのあり方が、場全体に冷静さをもたらすのです。人は理屈だけでは動きませんが、真実から目を背け続けても前には進めません。
妨げになってしまっている状態
同じ欲求が裏目に出ると、まず「なぜ?」が詰問になります。
「なぜ?なぜ?」が物事ではなく人に向くと、それは時に詰問になります。人は時に理由もなく、何となくで動いてしまうものです。そこに答えを求めようとすると、お互いにしんどくなります。
言っていることが正論なだけに、相手には逃げ場がありません。相手をコーナーに追い詰めてしまうのです。特に、過去の失敗に対してただ「なぜ?」と問うのは不毛なことが多いです。
論理的には間違っているとわかっていても、うっかりやってしまうことは誰にでもあります。それを「なぜ?」「何で?」と問われ続けるのはしんどいものです。「なぜ?」で相手の表情が曇ったら、追求はそこまでにしておきましょう。
また、論理性とともに正確さを求め、無意識のうちにそれを他者にも求めてしまいます。「なぜそうなると言えるの?」「それ、ちゃんと確認したの?」と質問を繰り返すと、相手は自分のことを疑われている、信頼されていないと感じるかもしれません。こちらはただ納得した上で物事を進めたいだけなのに、です。
もう一つは、自分の中で筋が通らないことをやりたくないので、納得するまで動かないことがあり、周りから頑固で融通が利かないと思われることです。「責任感」「公平性」「信念」のような「べき」の出やすい資質を併せ持っていると、その傾向が強くなるかもしれません。
そして、感情の扱いです。世の中の多くの人は、理屈より感情で動くものです。でも「分析思考」を上位に持つ人は、人の感情すら理屈で理解しようとしがちです。
感情には良いも悪いも、正しいも間違っているもないし、原因と結果があるわけでもありません。ただそういうものだと理解するしかないのです。ただ共感を求めて口にしている愚痴に対して、その原因を分析して対応策を助言してしまう、というすれ違いも起こりがちです。
大事なのは、自分の特性を自覚しつつ、どの場面でその特性を前面に出すのが効果的かを考えることです。理由がわかったとしても、その先どこにもつながらない「なぜ?」があります。つまり、自分が納得したいだけの「なぜ?」です。そういう「なぜ?」はセーブした方がいいかもしれません。質問するときは、自分がなぜ今この質問をしているのか、疑問を明らかにすることでどんな成果に結びつけたいのかを、きちんと説明してあげることも大事です。
効果的に活かす方法
「分析思考」を効果的に活かす鍵は、複雑なことをシンプルにわかりやすく説明する強みを、意識して使うことです。
今目の前で起こっていることがなぜそうなっているのかを、順序立てて説明する。込み入って難解なことを、誰にでもわかる形にする。これは意識してやろうとしなくても自然にやっていることですが、それが強みなのだと自覚して、貢献の方向に向けてください。
次に、「なぜ」を問題に向けることです。様々な問題の根本原因を見つけ、対症療法ではなく根本対策までつなげられるのは、この資質を上位に持つ人ならではです。大きな決断ほど、十分に吟味する時間を確保しましょう。
チームで仕事をするなら、相互補完を意識することです。人間関係構築力の資質が下位で「分析思考」が上位だと、感情の扱いが苦手かもしれません。人の感情は複雑すぎて、数値で表すことも、因果関係を説明することも容易ではないからです。自分の高い論理性で貢献しながら、直感や感情を大切にしている人に自分の苦手を補ってもらう。そういう意識でいるといいですね。
そして、時々感情に寄せてみることです。合理性のない感情や、論理性があるかどうかわからない直感で動いた方が、結果的にうまくいくことも多々あります。「分析思考」を上位に持つ人は、自分に対しても「◯◯したい」より「◯◯すべき」の思考が強く出がちで、それを繰り返しているうちに感情への感度が鈍ってしまうものです。
論理に寄りすぎるところを緩めるには、感情を見にいくこと。それはまず自分から、です。「◯◯すべき」ではなく「◯◯したい」での行動を増やしていく。
そうすれば「したい」で動いてもうまくいくことがたくさんあると気づけます。最初は理性的に考えるのが当たり前すぎて「したい」が見つかりにくいかもしれませんが、感情のない人はこの世に一人もいません。
丁寧に自分の感情を見ていけば、きっと見つかります。人間関係においては、「分析思考」は少し緩めて使うくらいがちょうどいいのです。
対比される資質
「共感性」と「分析思考」は、物事をとらえる拠り所が対照的です。「分析思考」を上位に持つ人は、客観的な事実と論理を拠り所にします。「共感性」を上位に持つ人は、相手の気持ちを自分のことのように感じ取る働きから、その場の感情を拠り所にします。感情には原因と結果があるわけではないので、「分析思考」からすると理屈の通らないものに見え、「共感性」からすると「分析思考」の人は気持ちを無視して理屈だけで話しているように見えるのです。
この違いは、相互理解がないとすれ違いを生みます。しかし、感情が邪魔をして前に進めない状況を冷静に打開する人と、理屈では動かない人の気持ちをくんで動かす人は、どちらも組織に欠かせません。両方が揃って、組織は正しく、かつ人が動く形で前に進めるのです。
なお、褒め方でもすれ違いが起こります。「ポジティブ」を上位に持つ人がよくやる「◯◯さん、すごい!」は、「分析思考」を上位に持つ人にはあまり通用しません。「君が◯◯という施策を実施してくれたおかげで、前年比◯◯%の伸びになったよ。ありがとう」のように、何がどうすごいのかを具体的に伝えてもらえると納得できます。
他の資質との組み合わせ
「分析思考」と「責任感」が組み合わさると、正しいことを筋道立てて確実に進める人になります。「責任感」には、引き受けたことを誠実に果たしたいという欲求があります。引き受けたことに対して、なぜそうするのかを明確にした上で取り組むので、周りの信頼が厚くなります。
ただし、「すべき」が強く出やすい組み合わせでもあるので、少し緩めて使うのがちょうどいいでしょう。
「分析思考」と「内省」が組み合わさると、何をどういう順番で話すかを頭の中で組み立ててから話す人になります。「内省」には、自分の腹に落ちるまで深く考えたいという欲求があります。深めた思考を筋道立てて伝えられるので、その言葉はいっそう説得力を持ちます。
「分析思考」と「調和性」が組み合わさると、場の空気を読みながら冷静さをもたらす人になります。「調和性」には、対立を避け、皆が同じ方向を向いていてほしいという欲求があります。感情的な対立の場に事実を示すには、タイミングを計らないと火に油を注ぎかねませんが、「調和性」があれば、その間合いを自然に取れるのです。
「分析思考」と「収集心」が組み合わさると、「なぜ」を徹底的に調べ上げる人になります。「収集心」には、幅広く情報を集めたいという欲求があります。疑問が湧いたら、納得できるまで情報を集めて確かめるので、その結論には裏づけがあります。
このように、「分析思考」は組み合わさる資質によって表れ方を変えていきます。ただ、根っこは一つです。なぜそうなるのかを知り、筋が通っていることを確かめたい。その欲求が、複雑で混沌としたものから真実をあぶり出し、あいまいさのない結論へと導いているのです。
無料レポート
ストレングスファインダー®を受けた方へ
その困りごとには、理由があります
ストレングスファインダー®の上位10の資質と、いま感じている困りごとを1つ選んでいただくと、なぜそうなるのかを資質の組み合わせで読み解き、上位資質で試せる対処を2つ書いた1枚を、メールでお届けします。
上記はギャラップに承認されたものではなく、ギャラップの認可も推薦も受けていません。クリフトンストレングス®(ストレングスファインダー®)に関する意見、見解、解釈は、株式会社ハート・ラボ・ジャパン代表 知識茂雄だけの考えです。



