「競争性」は、比較する
「競争性」は影響力の資質であり、原語はCompetitionです。 文字通り「競争」ですね。 ちなみに、どうでも良い情報ですが、「競争」という言葉はCompetitionに当てた福澤諭吉の訳語なのだそうです。 「へ~!」となりました。 ま、それは置いておいて…。 「競争性」は特定の分野において他者と自分を比較し、その比較対象の相手に勝つことにモチベーションのある資質です。 そして、ここでの“勝利”の意味合いには“敵失”での勝利は入ってきません。 あくまで自分が努力することで相手を上回ることに意味があるのです。 ここは、当たり前と言えば当たり前ですが、結構大事なポイントだと思います。 なぜなら、そのモチベーションこそが何らかの成果につながるからです。 ただ勝てば良いというものではないものの、勝つ、一番になるとの結果が伴わないと意味がないのもまた事実です。 そして自分が勝った、一番になったということを確認するためには、競争相手と比較できる明確な指標が必要です。 そこから、必然的に数値で比較するというのが出てきます。 例えばわかり易いところで言うと売り上げの数字とかです。 同僚と自分の売り上げを比較し、相手より少しでも上回れるように努力する。 そして、相手(ライバルたち)を上回り一番になるとの目標が出来たときのモチベーションの上がり方が半端ないのが「競争性」という資質です。「競争性」は、フィールドと相手を選ぶ
「競争性」の目的は、勝つ、一番になることにあります。 でも、その際の“勝つ”は競い合った結果としてそうなることを求めるとの意味です。 すなわち、自分が勝つとわかりきっている競争に燃えることはないということです。 その逆も同じことで、どう転んでも勝てそうにない分野で、あるいは相手に対し、競争に挑むことはありません。 その意味ではどういう分野で誰(たち)と競い合うのかはちゃんと選んでいるはずです。 よく「競争性」の方のエピソードで出てくるのが、ゲームで子どもと競う際に一切の手加減をしないというものです。 「競争性」が低い人からすると「なんと大人げない」と感じるかもしれません。 でも「競争性」の特性からすれば、それってある意味相手を対等なライバルだと認めているということだと思うのです。 すなわち、ゲームであれば大人であっても子どもであっても対等な立場で競争できるからこそ燃えるのだと思います。 「責任感」が約束を果たせなかった時に強烈な罪悪感を感じるのと同じように、「競争性」の場合は負けた時に強烈な悔しさが湧いてくると思います。 だからこそ「競争性」は強大なエネルギーを持っています。 “勝つ”、“一番になる”の目的を果たすために考えるだろうし、工夫するだろうし、頑張れるのだと思います。 すなわち適切に方向付けしてあげればものすごくパワフルな資質だと思います。「競争性」は、プッシュする
どんな資質でもそうですが、自分の資質ゆえの傾向に無自覚でいるといろんな罠にはまりがちです。 その一つが、自分が“勝つ”、“一番になる”との執着が強くなり過ぎると、その目的で無自覚に他者をプッシュし過ぎてしまうかもしれないということです。 たとえば、自分がトップセールスを達成するために他者の協力が必要だとしたときに、相手の都合を考えず「まだか、まだか」と催促してしまうとか、無理難題を押し付けてしまうとかです。 その結果たとえ一番は確保できたとしても、そういうやり方は長続きしないかもしれないので、長い目で見たらある意味“負け”なのかもしれませんね。 やはりここでもまずは自分の思考の特徴を理解、自覚して自分を客観視することが絶対的に必要です。 かつ、可能であれば時間軸を長めに取り、長期に渡って勝ち続けるために今何が出来るのかを考えるのもアリだと思います。 冷静に考えれば、長期に渡って“勝ち続ける”ためには周囲の人たちとの関係性を良好に保っていった方が良いことは明白です。 そして、場合によっては目の前の勝ち全てを拾いにいくよりは、あえていくつかは捨てることでさらに大きな勝ちを得るという考え方もあって良いと思います。 人それぞれの持つリソースは有限なので、それらをどこに投下するかを取捨選択するようなイメージですね。 人によっては自らこういう思考をすること自体難しい場合もあると思います。 そういう場合は、コーチという存在を活用するのが効果的だと思います。 そして、時間を掛けて自分にとっての“勝つ”ということの本質的な意味を問うていくことがとても意味のあることだと思います。“勝つ”は価値なのかニーズなのか?
これは私の勝手なイメージですが、同じく「競争性」を持つ人であってもそれを成熟した使い方をしている人とそうでない人の差は、“勝ち”を楽しむのか、“負け”を嫌うのかの違いだと思っています。 このニュアンスの違い、わかりますかね? 前者であれば、自分(たち)がいかに勝つためにいかに工夫し、頑張るかになる感じだと思いますが、後者だと負けることを避けるために極論すれば相手を蹴落とすとの方向に行きかねない危うさがあります。 ただ勝つことに喜びを見出している人は、そこに向かって努力していることそのものに喜びがあるはずなので、例え負けたとしても潔くその負けを認め次に進めると思います。 一方、負けを嫌い、避けたい人は、どこか負けるとの自分を受け入れきれず、素直に負けを認められず、負け惜しみを言ってみたりとあまりよろしくない言動にもつながりかねません。 ここって、勝つことが自分の価値になっているのか、ニーズになっているのかの違いなのかもしれません。 価値とはそれを目指していること自体に価値を感じ、喜びがある状態であり、結果がどうあれそこに向かうプロセスを楽しめる感覚でいることです。 一方ニーズの場合は、結果として何が得られたのかがより大事になるので、負けないことが絶対になっていきます。 価値が良くてニーズがダメとの単純な話しではありませんが、少なくともそこに無自覚でいると、そしてニーズが強ければ強いほど、それを無理にでも満たそうとしてしまい良くないことが起こり易くなります。 これはどんな資質であっても同じですね。 自分のその思考はそのことそのものを楽しむ感覚でいるのか、それとも何かを満たすためにそれをやっているのか? もちろん、その両方がきっとあるのだけれど、どちらが支配的なのかを考え、あまりにニーズとしての感覚が強過ぎるのであればそれを緩める方向に行く方が良いことが多いと思います。 ニーズの多くは自分の存在価値とつながっていると思います。 どういう自分でいることが自分が存在する価値なのか? ここに無意識の思い込みが潜んでいることが多いのです。 「競争性」で言えば 「常に勝ち続ける自分であることに自分の存在価値がある」 みたいな思い込みです。 客観的に見ればあきらかに非合理的な思い込みです。 それでも多くの人は無意識にこういった非合理な思い込みを持っています。 だからこそ、自己理解を深め、自分にどんな思い込みがあるのかを見ていくことが大事です。 ここがまさに自己基盤につながるところです。“勝つ”ことの意味を考える
「競争性」は、影響力の資質です。 すなわち、他の人を突き動かす高いエネルギーを持つ資質だということです。 従い「競争性」をより活かすためのカギは、その高いエネルギーを向ける方向性を適切に定めるということです。 一つには、せっかくの影響力を活かす上でも“チームとして勝ちに行く”という方向付けをすることです。 ここは以前書いたように「競争性」上位の人は、ライバルとなる人(たち)との明確な指標での比較をし、その指標について相手を上回ろうと努力します。 チームとして達成すべき目標を明確に定め、その達成に向けてチームの力を集約する。 こんな感じになると理想的ですね。 “チームで勝つ”ことを目的にすると、より広く長期的な視野に立てるようになると思います。 そして何よりチームとしてメンバー個々人の能力を最大限発揮してもらうには、相互の密なコミュニケーションが必要となります。 必然的に、自然とその方向にも意識が向いていくと思います。 もし、その点が苦手だったとしても、その苦手に(“それなりに”頑張って)取り組んだ先に勝利があると考えればモチベーションも保てるのではないかと思います。 また、自分の苦手なところを他の人に補ってもらうことにも意識が向くかもしれません。 こんなふうに“自分一人”から“チーム”に広げていくことで様々な可能性が広がっていくと思います。 それからもう一つは、勝利した先にあるものをイメージしておくことだと思います。 “勝つ”ことが動機づけであることはそれで良いし、そうでなければ「競争性」は働きません。 だから、勝利を重ねていった先に自動的に何かしら大きなものが達成できるとの設計にしておけば良いと思うのです。 例えば私の場合は、かなり早い段階からストレングスファインダーに関する情報発信を始めていて、2017年にサイトの大幅リニューアルを実施した以降だけでもストレングスファインダー関連のブログ本数が700本を超えています。 恐らくそのおかげもあり、ストレングスファインダーという単独ワードでの検索で常に上位に表示されるようになっています。 すなわち、誰よりも早く、誰よりもたくさんの情報発信をすることで認知を獲得しているのです。 ま、私の場合はその点に関して言えばただただ闇雲にやってきただけなので、たんなる結果論ではありますが。 (「最上志向」「自我」で負けたくないというのは出てきますが「競争性」と違って誰かと比較して勝つという感覚はないです) いずれにしても、目の前の一つひとつの競争を勝ち抜いた先により大きな何かが達成できている、そんな図式になるように設計出来ていると理想的だと思います。 ということで、「競争性」の場合は、特に目先の勝ちにこだわっているうちは十分に生かし切れないのではないかと思います。 視野を広く持ち、先を見通しながら長い目で見て大きくインパクトのある“勝ち”を取りにいく。 それが理想だと思います。
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