根源的な欲求、動機づけ
「最上志向」を上位に持つ人の根源にあるのは、優れたものをさらに引き上げ、最高の水準を目指したいという欲求です。原語はMaximizer。最大化、極大化するという意味です。すでにできていることをもっとできるように。すでに良いものをもっと良いものに。すでに得意なことをさらに磨く。この「もっと」の方向に、この資質のエネルギーは向かいます。
裏を返せば、この資質にとって現状維持は後退と変わりありません。昨日より今日、今日より明日と、自分もアウトプットも向上させ続けたい。そして、この欲求には終わりがないのです。どこまで行っても「まだ上がある」。この感覚こそが、「最上志向」という資質の核心です。
振る舞いの特徴
最高を目指す欲求は、質へのこだわりとして表れます。「最上志向」を上位に持つ人は、アウトプットの質に妥協しません。たとえばプレゼン資料を作る際、微妙なフォントのサイズや配置といった細部にまでこだわり、直前まで手を加え続けます。人から見れば十分な仕上がりでも、本人の中の基準はもっと上にあるのです。
また、優れたもの、卓越したものへの感度が高いのも特徴です。一流の仕事、突出した才能、洗練されたもの。そうしたものに強く惹かれ、自分もその水準に近づきたいと願います。この感度は人にも向かい、その人の強みや光るものを見抜く目にもなります。
一方で、好き嫌いのはっきりした資質でもあります。心惹かれる分野にはとことん打ち込む反面、興味のないことにはエネルギーが向かいません。
強みとして活かせている状態
この欲求が強みとして機能しているとき、「最上志向」を上位に持つ人は、卓越を生み出す人になります。自分の好きな分野に特化し、気の済むまで極めていく。この道筋に乗ったときのこの資質は、他の追随を許さない水準まで質を高めていきます。そういうところが、様々な分野で突き抜けた存在たらしめるのです。
また、「最上志向」は、他の資質を磨き、尖らせる資質でもあります。「コミュニケーション」と組めば、表現したいことがぴたりと伝わる言葉の選択にこだわる。「アレンジ」と組めば、最も無駄のない効率的なやり方にこだわる。「戦略性」と組めば、最短で行けるルートの選択にこだわる。自分の他の資質に舞台を与え、その切れ味を増していくのです。
人に対しては、相手の強みを見出して伸ばす関わりができます。できていないところではなく、光っているところに目を向けて磨きをかける。強みを活かすという思想そのものを体現する資質です。
妨げになってしまっている状態
同じ欲求が裏目に出ると、まずこだわりすぎが起こります。時間をかける意味の薄いところにまでリソースを注いでしまうのです。プレゼン資料の中身より見栄えに時間を使い、納期ぎりぎりまで粘ってしまう。それ自体が質を高めている面もありますが、早めに区切りをつけて浮いた時間を他に回せたら、全体としてもっと成果が出せるかもしれません。大事なのは、自分が何かとこだわりやすい人だと自覚することです。自覚があれば、こだわりすぎそうな瞬間に自分を客観視でき、どこまでこだわるかを自分で選べるようになります。
もう一つは、できていないところに目が向かないことです。うまくいっているところをさらに良くしたい欲求が強いぶん、今問題のある部分への関心が薄くなりがちです。「回復志向」上位の人から見ると、目の前の問題を見過ごしているように映り、すれ違いの原因になることがあります。
また、終わりのない向上心は、自分への厳しさにもなります。どれだけやっても満足できず、常に足りない感覚がつきまとう。時には「今日の到達点」を認めて区切りをつけることも、この資質と長く付き合う知恵です。
効果的に活かす方法
「最上志向」を効果的に活かす鍵は、自分が大好きな分野に特化することです。この資質は、興味のあることとないことでエネルギーの差が激しい資質です。ならば、心から惹かれる分野を主戦場に定め、そこを気の済むまで極める。これが最も自然で、最も強い活かし方です。
次に、自分の他の上位資質のうち、どれを磨きたいかを決めることです。「最上志向」は他の資質を尖らせる資質ですから、磨く対象を自覚的に選び、その資質に舞台を与えるように使えば、強みの成長が加速します。
人間関係においては、共に時間を過ごす相手を選ぶ傾向を自覚しておくとよいと思います。何かに秀でた人に惹かれるのはこの資質の自然な反応です。好きなことを、一目置ける人たちと追求できる環境。それがこの資質にとっての理想の環境です。
対比される資質
「回復志向」と「最上志向」は、どちらも現状をより良くする資質ですが、向きが対照的です。「最上志向」は、プラスをさらに大きなプラスにする資質で、優れたところ、伸ばせるところに目が向きます。「回復志向」は、マイナスをゼロに戻す資質で、欠けているところ、直すべきところに目が向きます。この視点の違いは、相互理解がないとすれ違いを生みます。「回復志向」から見れば「最上志向」は問題を放置しているように見え、「最上志向」から見れば「回復志向」は粗探しをしているように見える。しかし、天井を押し上げる人と土台の穴を塞ぐ人は、どちらも組織に不可欠です。両方が揃って、組織は安定しながら卓越へ向かえるのです。
他の資質との組み合わせ
「最上志向」と「学習欲」が組み合わさると、学びの質を極める方向に働きます。最高の環境で、一流から学ぶ。学び自体が卓越への道になります。「最上志向」と「個別化」が組み合わさると、一人ひとりの強みを見抜いて磨く名伯楽になります。その人ならではの光るものを見つけ、そこを徹底的に伸ばす関わりができます。
「最上志向」と「自我」が組み合わさると、一目置く一流の人から認められたいという欲求が、人一倍の向上心となって推進力を生みます。
「最上志向」と「達成欲」が組み合わさると、量と質の両方を追う力になります。多くをこなしながら、その一つひとつの水準にも妥協しない仕事ぶりです。
このように、「最上志向」は組み合わさる資質を磨きながら、自らの表れ方も変えていきます。ただ、根っこは一つです。優れたものを、さらにその上へ。その欲求が、この資質のすべてのこだわりの起点になっているのです。
上記はギャラップに承認されたものではなく、ギャラップの認可も推薦も受けていません。クリフトンストレングス®(ストレングスファインダー®)に関する意見、見解、解釈は、株式会社ハート・ラボ・ジャパン代表 知識茂雄だけの考えです。


