自分らしく、あなたらしくの「境界線」
先日は神戸で開催された自己基盤ワークショップに参加してきました。
自己基盤の概念は文字通り自分の基盤(土台)となるもので、それを強化していくことでより自分らしく生き生きと生きていくことができます。
自己基盤強化の先にあるものは自己本位で生きていくことであり、それが自己実現にもつながっていきます。
自己本位とは自分勝手、わがままとは異なり、自分が自分らしく生きることを自分に許せていると同時に、周囲の誰に対してもその人がその人らしく生きることを許せている状態を指します。
自己基盤の学びには境界線という概念があります。
それはまさに自分が自分らしくいるために他者との間に引くものであり、他者がその人らしくいるために自分との間にある見えない線のこと。
そして少なくない人がこの境界線が曖昧になっていて、自分の快適な領域に相手を踏み込ませ過ぎていたり逆に自分自身が相手の快適な領域に踏み込み過ぎていたりします。
この境界線を適切にイメージしつつ周囲の人たちとのコミュニケーションを取ることが大事なことなのです。
でもそれって多くの人にとってはそんなに簡単なことではありません。
なぜならばそこには多くの場合セルフイメージが絡んでくるからです。
例えば私の場合誰かの役に立つ人として他の人から見られたいというのが強くあります。
そのため何かが起こるとすぐに反応してしまう「適応性」とも相まって誰かに何かを頼まれると即対応したくなるし実際にそうすることが多いです。
でもそういう自分ばかり見せていると「知識さんは、何でも頼むとすぐにやってくれる人」という認識になり、いろんな人からいろんなことを頼まれるようになって時々自分のことを後回しにしてでも対応するなんてことも起こります。
そうやって人からよく頼まれごとをすること、そしてそれに応えることが悪いことでは全くないです。
それはある意味自分の喜びでもあるのだから。
でも、そういう自分でいないと…という思い込みが強すぎると、結果的に自分が自分に使える時間を減らしてしまい自分自身が疲弊することにもつながりかねません。
そしてそうなってしまった自分は時折卑屈になり、「こんなにやってあげてる“のに”まだ足りないの?」という感じで“のに”が出てくることすらあります。
そういうのは健全とは言えませんね。
なので、自分が健全な自分としていられるように境界線を引く、すなわちこの場合で言えば対応が難しいときにはアサーティブに断るという選択をすることも大事なのです。
それでも「こう見られたい」とのセルフイメージはなかなか強固なので決して簡単なことではないですけどね。
いずれにしてもここで説明した境界線があいまいで他者を踏み込ませ過ぎているように感じる人は、小さなことから“毅然とアサーティブに断る”という練習をしてみると良いと思います。
自分が自分らしくいられる空間を自ら境界線を引くことで確保する。
そうすることで自分が他者に貢献できる機会にはより気持ちよく相手のために役立てるようになるし、うかつに他者の境界線を越えて踏み込んでしまうことも少なくなると思います。