ストレングスコーチの知識茂雄です。
人間関係構築力の資質である「ポジティブ」について解説していきます。
根源的な欲求、動機づけ
「ポジティブ」を上位に持つ人の根源にあるのは、自分も周りもポジティブな感情でいたい、何事も楽しくやりたいという欲求です。
原語はPositivity。ポジティブなあり方を指す名詞です。「ポジティブ」を上位に持つ人は、その言葉の示す通り、基本的に前向きであり楽天家です。感情面から表現すると、「ネガティブな感情を好まない」と言うこともできます。無意識のレベルで、常に「自分の感情をポジティブに保ちたい」というのがあるのです。そしてそれは、他者にも及びます。
影響力の資質ではないのでそこまで高いエネルギーを発するわけではありませんが、自らは自然とポジティブなエネルギーを発し、周りの人を楽しませたい、前向きな気持ちにさせたいと思っています。
その前向きさゆえに、何でも「楽しむ」ことを大切にしています。「どうせやるなら楽しく前向きにやりたい」。この感覚は、多くの「ポジティブ」を上位に持つ人が持っているものだと思います。「ポジティブ」を上位に持つ人は、理屈や正しさよりも「楽しさ」を大切にする。理屈や正しさを追い求めすぎると時にしんどくなってしまいますが、楽しさは気持ちを前向きにさせてくれます。この「自他共にポジティブな感情でいたい」という欲求こそが、「ポジティブ」という資質の核心です。
振る舞いの特徴
ポジティブな感情でいたい欲求は、まず「ネガティブな出来事をポジティブにひっくり返す」という形で表れます。
「ポジティブ」を上位に持つ人は、目の前で起こった出来事が一見ネガティブなことであっても、それを一瞬にしてポジティブに反転させます。たとえば、楽しみにしていた外での催しが天候の問題で中止になったとしても、「最近積ん読が溜まっていたから、ゆっくり読書ができてよかった」というようにひっくり返して解釈します。
うまくいかないことがあっても「これでまた一つ経験値が上がった」ととらえて、後ろ向きになることがありません。コップ半分の水を見て「まだ半分も残ってる」と考えるのです。
次に、「褒め上手」という形で表れます。自然と人を前向きな気持ちにさせたいというのがあるので、人がうまくいっているところ、できているところに目を向け、それを無意識に口にして周りを勇気づけます。物事の良い面、人であればその人の強みや得意に目を向ける「最上志向」が加わると、さらにその傾向は強くなります。
周りの人を楽しませたいという気持ちから、気持ちが明るくなるように冗談を言ったりと、ユーモアのセンスがある人も多いです。「着想」が加わると、楽しく、そして面白く、という感じになります。
そして、「落ち込んでも復活が早い」という形で表れます。誤解としてありがちなのは、語感から「ポジティブ」イコール落ち込まないと思っている人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。落ち込むことだってもちろんあるけれど、戻るのが早いのです。「ネガティブ」が嫌いなだけに、自分をネガティブな状態にいつまでも留め置けない。下を向き続けることを知らず、何回転んでもその度に顔を上げて前に進みます。
楽天的な側面で言えば、初めて取り組む未知の領域に踏み込まなければならないときや、何か困難に直面したときでも、「ま、何とかなるだろ」と根拠なく思えるところがあります。どれだけ悩んでも、最後には顔を上げて「ま、いっか」と前を向けるのです。
強みとして活かせている状態
この欲求が強みとして機能しているとき、「ポジティブ」を上位に持つ人は、どんなに困難な状況にあってもその先にある光を見せ、勇気を与える人になります。
「ポジティブ」を上位に持つ人の目線の先には、常に希望の光があります。今どんなに暗闇の中にいたとしても、「きっと何とかなる」と希望を失わない。根拠なくそう思えるそのあり方が、人の心を動かします。停滞し、閉塞感に満ちた場に、灯台のように一筋の光を見せ、希望を与える。
何度失敗しても「次は大丈夫、何とかなる」と思えるので「めげる」ということを知らず、どんなに高い壁でも前向きに繰り返し挑めば必ず乗り越えられることを知っている。そのあり方が、失敗して打ちひしがれている人に希望を与えます。
ネガティブな気持ちのまま立ち止まっていても決して事態はよくならないことを知っているので、どんなことに対しても気持ちが「上がる」要素を見出し、前向きな気持ちにさせてくれます。たとえ今厳しい状況にあったとしても、「ポジティブ」を上位に持つ人と一緒だと、きっと前向きな気持ちで取り組めます。行き先がいくら行き詰まって見えていたとしても、「何とかなる」と可能性を見出す。それが周りの人に、あきらめずにもう少しだけでも前に進んでみようという勇気を与えてくれるのです。
そして、楽しいことが好きなので、皆で何かを祝う場面や、驚かせて喜ばせる演出を任せると、喜んでやってくれます。「着想」を併せ持っていればいろんな案が浮かぶでしょうし、「共感性」を併せ持っていれば、相手が心から喜んでくれることに焦点を当てた、楽しくて心温まる演出をしてくれます。「社交性」や「コミュニケーション」といった影響力の資質と共に上位にあると、周りの人も巻き込みながら前向きな雰囲気をかもし出していきます。
妨げになってしまっている状態
同じ欲求が裏目に出ると、まず「反省していない」と見られてしまいます。
落ち込んでも復活が早いので、何かで失敗して叱られてがっつり落ち込んだとしても、しばらく経つと何事もなかったように普通の状態に戻ってしまいます。正確に言うと、失敗すればもちろん落ち込むのだけれど、そのネガティブな感情のまま居続けることができないのです。それを見て「あいつは反省していない」と怒り出す人がいるかもしれません。本人にはまったく悪気はないので、周りの人は「そういう人なんだな」「それがこの人の良さなんだな」と理解してあげてください。
何に対しても「何とかなる」と思いがちで、ささいなことにこだわらないという強みの裏返しで、やや大雑把になりがちなところもあります。細かなところへの配慮が欠けがちなので、何かと「やらかす」ことも多いと思います。ここへの対処は、自分で何とかしようとするのはもはや無理があります。「何とかなる」というのは理屈ではなく感覚の問題だからです。
だから「時々やらかすので、危ないと思ったら止めてください」と周りの人にお願いしておくのもありだと思います。そういうのも許される人柄であることが多いと思うので。
もう一つは、周りのネガティブに影響を受けやすいことです。決して落ち込まないわけではなく、むしろ「ネガティブが嫌い」なだけに、周りにネガティブなことばかり口にする人がいると、その影響を受けやすいのです。「共感性」が加わるとなおのことその傾向が強くなり、周りの影響を受けて感情が大きく揺れ動きやすくなります。
だから、どういう環境に身を置くかが大事です。自分のできる範囲で、自分が心地よくいられる環境を整えましょう。「着想」を上位に持つ人同士が響き合うのと同じように、「ポジティブ」を上位に持つ人同士でも響き合うものがあると思います。
そして、ネガティブを直視しないことです。物事のポジティブな面に目を向けるという強みの裏返しで、物事のネガティブな部分を直視しない。物事には、面倒くさいし楽しくないことでもやらなければいけないことがあります。それでもついつい「わくわく」の方に惹かれてしまうので、ある意味「現実逃避」しがちかもしれません。重大な問題が起きた際に「大丈夫、何とかなるよ」と軽く流してしまうと、周りに深刻さが伝わらず、必要な行動が遅れることもあります。
対処としては、その面倒で楽しくないことを乗り越えた先に楽しいことが待っていることをしっかり想像すること。自分へのご褒美を準備しておくのもいいですし、楽しくなさそうな仕事の中にもちょっとした楽しみを見つけることは得意なはずなので、それを意識するのもありです。「ポジティブ」だからこその動機づけを前向きに活かし、苦手なことにも取り組んでいくことが大事です。
褒め方については、「すごい」「素晴らしい」「えらい」といった、勢いはあるけれどあまり具体性のない言葉になりがちです。相手が「分析思考」を上位に持っていると、具体的に何がどうすごいのかを説明してもらえないと素直に喜んでいいかわからず、あまり響かない可能性があります。落ち込んでいる人につい「大丈夫だよ」「心配ないよ」と励ましがちなのも、勇気をもらって元気になる人がいる一方で、今はそっとしておいてほしい人や、何の根拠もなく「大丈夫」と言われて戸惑う人もいます。
自分の当たり前と他人の当たり前は違うので、場合によっては相手を見て対応を変えることも必要です。「能天気なやつだ」と言われることもあるかもしれませんが、本当にそう思っているのだから仕方ない。周りの人は「出たよ」と思いながらも、この前向きさが困難にも向き合える勇気を与えてくれることに目を向けましょう。
効果的に活かす方法
「ポジティブ」を効果的に活かす鍵は、自分の前向きさを意識的に言葉や態度で表すことと、自分の立ち直りの早さに気づくことです。
まず、前向きさを意識的に表すことです。「ポジティブ」を上位に持つ人は、今大変な状況にあってもそれを悲観的にとらえることなく、「いい経験をさせてもらってるなあ」というように受け取ります。その前向きさは、周りの人に自分が思う以上に影響を与えています。だから、自分のその前向きさを意識的に言葉や態度で表すことで、周りの人に貢献できます。
困難な状況にあっても「大丈夫、何とかなる」という言葉には勇気づけられるものです。人の良いところに目を向ける褒め上手でもあるので、人が小さな成功を収めたときに声を掛けることで、その人のやる気を保ち、成長を促せます。
次に、自分の立ち直りの早さに気づくことです。「自分は決してポジティブではない。だって結構落ち込むことが多いし」という人は、他の人に、落ち込んだときに立ち直るのにどれくらい時間が掛かるかを聞いてみてください。自分の立ち直りの早さにびっくりするかもしれません。そうやって「確かにポジティブがあるんだな」と気づければ、それをどう活かすかに自然と意識が向いていきます。
そして、自分の思考の癖を周りに知ってもらうことです。「何とかなる」「大丈夫」とついつい思ってしまうことや、立ち直りが早いこと自体は、変えられないし、変える必要もありません。自分がついそう考えがちだということを周りの人に知っておいてもらえば、周りの人は必要に応じて釣り合いを取ってくれます。悲観的であることも、物事を着実に、確実に成し遂げるために必要なことです。一方、悲観的すぎると可能性を見失うこともある。
ここでもやはり役割分担です。「ポジティブ」を上位に持つ人の役割は、閉塞感のある中にも可能性を見出し、前を向いて進んでいくこと。まさに今このときが出番です。
対比される資質
「慎重さ」と「ポジティブ」は、統計的に順位が離れやすい資質です。「ポジティブ」を上位に持つ人は、自他共にポジティブな感情でいたいという欲求から、リスクをあまり心配せず「ま、何とかなるだろう」と、良い結果を信じて行動を起こします。「慎重さ」を上位に持つ人は、最初から失敗なく着実に成果を出したいという欲求から、あらゆるリスクの可能性を考えて備えます。
「ポジティブ」のささいなことにこだわらないところ、やや大雑把になりがちなところが、「慎重さ」との順位が離れやすいことにつながっています。「分析思考」もある意味対照的で、「だいたい」「多分」のあいまいさを嫌うのに対し、「ポジティブ」は割とざっくりと物事をとらえます。
この違いは、相互理解がないとすれ違いを生みます。「ポジティブ」から見れば「慎重さ」は心配しすぎに見え、「慎重さ」から見れば「ポジティブ」は能天気に見える。しかし、慎重になりすぎないように「ポジティブ」の楽観が前進を促し、楽観的すぎる場面では「慎重さ」が現実的な視点を提供する。希望の光を見せる人と、大怪我を防ぐ人は、どちらも組織に欠かせません。
他の資質との組み合わせ
「ポジティブ」と「社交性」が組み合わさると、明るく前向きなムードメーカーになります。「社交性」には、多くの人と出会い、相手に自分を好きになってもらいたいという欲求があります。無意識の笑顔に楽天的な明るさが重なるので、初めて会う人とも笑顔でつながり、場を明るく照らします。とてもよく見られる組み合わせです。
「ポジティブ」と「着想」が組み合わさると、楽しく、そして面白い人になります。「着想」には、新しい考えやつながりを見つけて楽しみたいという欲求があります。楽しさに面白さが加わるので、ユーモアを大切にしつつ自らも楽しみ、他の人を楽しませる。皆を驚かせて喜ばせる案も、次々と浮かんできます。
「ポジティブ」と「共感性」が組み合わさると、心温まる形で人を元気づける人になります。「共感性」には、相手の気持ちを自分のことのように感じ取る働きがあります。相手が心から喜んでくれることに焦点を当てられるので、前向きさの届け方が相手に合ったものになります。一方で、周りの影響を受けて感情が揺れやすい組み合わせでもあるので、心地よくいられる環境を整えることが大事です。
「ポジティブ」と「適応性」が組み合わさると、どんなことがあっても楽天的に受け入れられる人になります。「適応性」には、今この瞬間に起こることを受け入れて対応したいという欲求があります。「仕方ない」と受け入れた上に「これは新しい機会だね」と前向きにとらえるので、突然の変更にも明るく対応していけます。
このように、「ポジティブ」は組み合わさる資質によって表れ方を変えていきます。ただ、根っこは一つです。自分も周りもポジティブな感情でいたい。どれだけ「能天気」と言われようが、その前向きさを貫いてほしいと思います。希望の光を灯し続けてください。
無料レポート
ストレングスファインダー®を受けた方へ
その困りごとには、理由があります
ストレングスファインダー®の上位10の資質と、いま感じている困りごとを1つ選んでいただくと、なぜそうなるのかを資質の組み合わせで読み解き、上位資質で試せる対処を2つ書いた1枚を、メールでお届けします。
上記はギャラップに承認されたものではなく、ギャラップの認可も推薦も受けていません。クリフトンストレングス®(ストレングスファインダー®)に関する意見、見解、解釈は、株式会社ハート・ラボ・ジャパン代表 知識茂雄だけの考えです。



