「責任感」の正しさを緩める
「責任感」、「信念」ともに実行力の資質です。 実行力の資質は、比較的エネルギーの高い資質です。 ゆえに、強みとして活かせればとってもパワフルだけど、その裏側の弱み使いも同じようにパワフルに出がち。 だから、これまで書いてきたような自分を客観視しながらのマネジメントがとても大事。 とは言え、この二つの資質の扱い方は、その前提が異なります(と、私は思っています)。 この二つの資質の共通点は、ある種の正しさへのこだわりが強いこと。 「こうあるべき」とか「こうあらねば」という正しさの基準を持っています。 そして、この二つの資質の明確な違いは、その正しさの普遍性です。 「信念」の正しさは、「世の中はこうあるべき」、「人としてこうあるべき」という普遍的で絶対的なもの。 従い、その価値観は決して変わらないし、揺らぐことのないものです。 一方「責任感」の正しさは、主には自分以外の他者に対する誠実さとして現れます。 他者と交わした約束は絶対に果たすとか。 そしてその正しさは、多くの部分で共通するとは言え、必ずしも普遍的なものではありません。 そして、その正しさというのは、他者との関係性の中で生まれるものなので、多少緩めることが可能です。 どういうことかと言えば、例えば「責任感」上位の人は、他者と交わした約束を守れないと強い罪悪感に苛まれます。 これは、相手の期待に“正しく”応えられなかった自分を責める反応です。 ということは、どこかで“相手の期待=自分はこう振る舞うべきだとの正しさの基準”というものを勝手に思い込み、作り出しているのです。 従い、この相手の期待値というものが、自分が思うほど“きちんとした”ものを求められている訳ではないということがわかれば、その基準を緩めることが可能です。 とは言え、それまで「こうあるべき」と思い込んでいたものを簡単に手放せるものではありません。 と言うか、手放す必要はないですね。 ただ少しだけ自分に厳しすぎるところを緩めてあげる。 大事なのは、そんな感覚で取り組むことです。 そして、そういうマインドを手に入れるためには、まずそういうマインドを自分が持っていると仮定し、それに沿う行動を実際に取ってみる必要があります。 心のあり方が変われば行動が変わるのと同じように、その逆、すなわち行動を変えることで、あり方も変えることが出来ます。 多くの「責任感」持ちの人にとり、約束を破るというのは最大のタブーです。 ここでいう行動を変えるというのは、このタブーに挑戦することを意味します。 と言っても、わざと約束しといてそれを破る練習する必要はないですよ…さすがに(笑)。 例えばこういうことです。 自分が今日中にやると約束したことがあったとして、それでもどうにもやる気が起きない時だってあると思います。 そんな時でも「責任感」持ちの人は、それを無理してでも頑張ってやろうとすると思います。 それをやめてみるのです。 すなわち、 「今日中にやると言ってたんだけど、出来そうにないんで、明日でもいいかな?」 と言ってみるということです。 そうすると、比較的多くの場合で、多くの人が、あっさりと「いいよ」と言ってくれることに気づくでしょう。 何故ならば、世の中的には「責任感」を上位に持たない人の方が圧倒的多数だからです。 つまり、自分がこれが正しいと信じていた“正しさ”そのものが、世の中全体から見れば少数派だということ。 ここに気づければ、きっと「責任感」をいい塩梅で緩めることが出来ると思います。
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