ストレングスコーチの知識茂雄です。
実行力の資質である「達成欲」について解説していきます。
根源的な欲求、動機づけ
「達成欲」を上位に持つ人の根源にあるのは、取り掛かり、終わらせたい、同じ時間でより多くのことを成し遂げたいという欲求です。
原語はAchiever。「成し遂げる人」という意味合いです。「達成欲」を上位に持つ人の動機づけは、シンプルに、取り掛かり、終わらせることにあります。キーワードは「生産性の高さ」。同じ時間内であれば、よりたくさんの成果を出したいのです。実行力の資質なので、必ず成果を出すところまでいくのも特徴で、やりっぱなしということをせず、一つひとつを必ず完了させます。中途半端は嫌いなのです。
一つひとつを完了させつつ、それをたくさんやる。そのためには当然、動き続ける必要があります。だから「達成欲」を上位に持つ人は、基本的に体力、持久力のある人が多いです。体力があるのが先なのか、「達成欲」があるから体力がつくのかは謎ですが、別名「体力資質」と言われるくらい、精力的に動き、働く資質です。この「取り掛かって、終わらせたい」という欲求こそが、「達成欲」という資質の核心です。
振る舞いの特徴
終わらせたい欲求は、まず「予定を詰め込む」という形で表れます。
「達成欲」を上位に持つ人は、立ち止まることがありません。立ち止まって何もしていない状態だと、何も生み出していない感覚に陥るからです。だからこそ予定を詰め込み、次から次へとタスクをこなして完了させていきます。スケジュール帳が予定でびっしり真っ黒になっているとやる気が増し、生産性が上がるのがこの資質です。
ToDoリストを作っておいて、完了したら印を入れて消し込んでいくことに快感を覚える感じです。隙間時間でも何かしら作業をしたくなります。会議の場にもパソコンを持ち込んで、ちょっとした待ち時間にメールをチェックしたり資料を作ったり。夜遅くまで仕事をしている人が多いのも特徴で、メールの返信が来るのが大概夜の10時、11時、という人は、この資質を上位に持っているかもしれません。
ちょっとした隙間時間にもやれることはあると思っているところから、大きな塊の仕事を小さなタスクに分割するのも得意です。大きな塊のままではヘビーに感じることでも、小さなタスクに分けてコツコツ片づけていけば、どれだけ作業量が多くてもいつかはやり遂げられる。
他の資質との組み合わせでどういう行動になるかと言えば、たとえば「学習欲」を併せ持っていれば、仕事帰りや休みの日でも学びのためならいろんな場所に出掛けていきます。そして、講座やセミナーに参加する、という行動になりがちです。せっかく時間があるのに何もやらずにぼーっとしているのはもったいない、という感覚なのです。日常的にジムで身体を動かし、鍛えている人も多いと思います。
強みとして活かせている状態
この欲求が強みとして機能しているとき、「達成欲」を上位に持つ人は、コツコツと積み上げて大きなことを成し遂げる、努力の天才になります。
それがどこへつながっているか今は見えなくても、目の前のことにコツコツと取り組める。地道に、着実に、数多くのことを実行し、気がつけば大きなことを成し遂げている。人生において結果はよく自分ではコントロールできないもので、唯一コントロールできるのは自分の不断の努力です。
それを知っているから、どんなことがあっても動き続けられるのです。努力は決して裏切らないことを、教えてくれる存在です。「達成欲」単体では効率をあまり考えないので、ある意味不器用に前に進んでいく感じかもしれませんが、量質転化という言葉もある通り、圧倒的な量はいつしか質の高さにもつながっていきます。
そして、立ち止まることなく前進し続けるその姿勢に、周りの人は知らずと背中を押されています。とにかくよく働くその姿がチームや組織に活力を与え、無意識のうちにチーム全体の生産性を引き上げているのです。ある意味、倍速で様々なことを経験し、体感している人でもあります。その多彩な経験値が、人生の彩りになります。
妨げになってしまっている状態
同じ欲求が裏目に出ると、まず周りの人を自分のペースで押してしまいます。
「達成欲」を上位に持つ人のペースは、それを持っていない人に比べたら異常に速いのです。「アレンジ」を併せ持っていると、そこに効率が加わるので、成果を出すスピードはさらに半端ではなくなります。そういう人から周りを見ると「遅い」と感じてしまう。極論すれば、他の人が怠け者に見えてしまうかもしれません。
人は無意識に、自分が大切にしていることを他の人にも求めてしまうものです。「もっと一生懸命働こうよ」と思ってしまうのも無理はありません。自分がリードする場面では、休む時間が極端に少なくなることもあります。たとえばオンラインのワークショップで、講師がこの資質を上位に持っていると、やたら休憩が少なかったりします。
でも、診断を受けた人の中で上位5つに入っている率がもっとも高いのが「達成欲」とはいえ、その比率はせいぜい3割程度です。周りの人の多くは、自分ほど動ける体力はありません。そのことを踏まえて、周りの人に求めすぎないことが大事です。
自分が無意識に他の人を押してしまっているかもしれないと自覚し、周りの様子に意識を向けてください。「調和性」や「適応性」を上位に持つ人はつい相手に合わせてしまうので、無理をしてしまう人がいるかもしれないと念頭に置いておきましょう。普段から率直に言い合える関係を築いていれば、押しすぎたときに「少し休もうか」と肩を叩いてもらえます。
そして、押してしまう相手は自分自身でもあります。体力があるだけについ無理をしてしまい、自分ではそんなつもりはなくても、いつの間にか疲れが溜まっていることがあります。体力があるとはいえ、そこは生身の人間です。対処としてよく言われるのは、休むこと自体をタスクにしてしまうことです。休むという行為を何も生み出さない時間ととらえるのではなく、自分の身体をきちんと手入れする時間だと意味づける。定期的に手入れをしていけば、整った状態で継続的に成果を出し続けられます。
もう一つは、手段が目的になることです。完了させること自体が目的化しがちで、目の前の仕事を片づけることに集中するあまり、全体を見渡す視点に欠けてしまうかもしれません。仕事全体を見たとき、そのすべてをやる必要があるのか。何をどういう順番でやると無駄がないか。今やることと後でいいことの優先順位はどうか。
片っ端から始めて終わらせる、だと、そういう視点が抜けがちです。意識的にそこに目を向けるか、「アレンジ」「戦略性」「規律性」などを上位に持つ人と相談しながらやるといいと思います。
成果を出すことに重きを置くあまり、人の気持ちを置いていってしまいがちなところも、人間関係構築力が低めの人は気をつけたいところです。自分が成果に集中しすぎているときに肩を叩いて教えてくれる人を、身近に置いておけると理想的です。放っておいてもたくさんの成果を出せる人なので、ちょっとだけセーブするくらいでちょうどいいのです。
効果的に活かす方法
「達成欲」を効果的に活かす鍵は、自分のペースを守れる環境を整えることです。
動いていない時間は、この資質を上位に持つ人にとって無駄以外の何ものでもありません。でも周りの多くの人は、その速さで動けません。だから、可能であれば一つの仕事を丸ごと任される方が力を出しやすいことがあります。特に「責任感」を併せ持っていると、役割と責任範囲を明確にしてもらい、あとはすべて任せてもらえる方がやりやすいでしょう。
次に、誰と組むかです。チームとして成果を出さなければならないときは、自分のペースに合わせられる人を選ぶ必要があります。同じく「達成欲」を持つ人か、結果に強くこだわる「責任感」「目標志向」「回復志向」などの実行力の資質を上位に持つ人は、さほど違和感なくペースを合わせてくれます。逆に、実行力の資質がなく「最上志向」と「戦略性」を持つような人は、究極の無駄嫌いなので、ただ動くことに強い抵抗を示し、かみ合わないことが多いと思います。
ただ一方で、最短で無駄なく成果を出したいのであれば、むしろそういう人と組むべきです。条件は、お互いがお互いの特性を理解していて、お互いの弱みを強みで補い合うことに双方が本気であること。その場合に限って言えば、自分にないものを持っている人と組むことが、自分の資質をより活かすことにつながります。
人間関係構築力が低く、人の気持ちを置いていきがちなら、人間関係構築力を持っている人に補ってもらうのが効果的です。自分をスローダウンさせるのではなく、自分のペースを保つためにこそ、それによる弊害が出ないように補ってもらう。そういう頼り方です。
そして、チームや組織で働いているなら、プロジェクト全体の推進力となるよう、自分の役割を定義することです。意識的に全体に目配りをしながら、あるいは他者の才能を借りながら、全体のペースメーカーとして生産性を引き上げる。そんな役割を全うできると理想的です。もちろん、自然とそうなっている面もあると思いますが。
対比される資質
「適応性」と「達成欲」は、時間との付き合い方が対照的です。「達成欲」を上位に持つ人は、取り掛かって終わらせたいという欲求から、予定を詰め込み、次々とタスクを完了させていきます。「適応性」を上位に持つ人は、今この瞬間に起こることを受け入れて対応したいという欲求から、予定を詰め込むよりも、その場その場で起こることに柔軟に応じていきます。詰め込んで前に進む人と、流れに乗って進む人の違いです。
この違いは、相互理解がないとすれ違いを生みます。「達成欲」から見れば「適応性」は動きが少なく成り行き任せに見え、「適応性」から見れば「達成欲」は余裕なく詰め込みすぎに見える。しかし、圧倒的な量をこなして前に進める人と、予定外の出来事に柔軟に対応する人は、どちらも組織に欠かせません。
他の資質との組み合わせ
「達成欲」と「アレンジ」が組み合わさると、無駄なく生産性高く、成果を出す速さが半端ではない人になります。「アレンジ」には、人や物事の組み合わせをやりくりして最善の形にしたいという欲求があります。量をこなす力に、無駄のないやり方が加わるので、同じ時間でさらに多くのことを成し遂げられるのです。
「達成欲」と「責任感」が組み合わさると、任されたことを確実に、しかも大量にやり遂げる人になります。「責任感」には、人との約束を果たして誠実でありたいという欲求があります。引き受けたことは必ず完了させるので、役割と責任範囲を明確にしてすべて任せてもらえたとき、いちばん力を発揮します。
「達成欲」と「学習欲」が組み合わさると、学びのためにどこへでも出掛けていく人になります。「学習欲」には、知らなかったことを知っている状態にしていく過程を楽しみたいという欲求があります。時間があれば学びに使いたいので、仕事帰りや休みの日でも講座やセミナーに参加し、学びを積み上げていきます。
「達成欲」と「競争性」が組み合わさると、量と質の両方を追い、次から次へと勝ちを積み重ねていく人になります。「競争性」には、誰かと比べて勝ち、一番になりたいという欲求があります。どちらもエネルギーの高い資質で、上位5つに一緒に現れやすい組み合わせです。
このように、「達成欲」は組み合わさる資質によって表れ方を変えていきます。ただ、根っこは一つです。取り掛かって、終わらせたい。目の前にやるべきことがある限り歩みを止めないその姿勢が、やり続けている限り物事は達成されるというシンプルな真理を、周りの人に教えてくれるのです。
上記はギャラップに承認されたものではなく、ギャラップの認可も推薦も受けていません。クリフトンストレングス®(ストレングスファインダー®)に関する意見、見解、解釈は、株式会社ハート・ラボ・ジャパン代表 知識茂雄だけの考えです。
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