ストレングスコーチの知識茂雄です。
影響力の資質である「社交性」について解説していきます。
根源的な欲求、動機づけ
「社交性」を上位に持つ人の根源にあるのは、多くの人と出会い、相手に自分のことを好きになってもらいたいという欲求です。
原語はWoo。実は34資質の中で「社交性」だけが一つの単語ではなく、Winning Others Overの頭文字を取った略語です。直訳すると「相手を説得して味方に引き入れる」ですが、もっとわかりやすく言えば「相手を魅了する」、さらに簡単に言えば「自分のことを好きにさせる」影響力です。人との新たな出会いを求め、次々と人とつながっていく資質です。
ここで大事なのは、「社交性」は人間関係構築力ではなく、影響力の資質だということです。34資質の4つの分類は絶対的なものではありませんが、この資質については、影響力だと考えることがその本質を理解する上で大切だと思っています。「社交性」の場合は、つながりを作るというより、人との出会いを楽しむという感じです。多くの人と出会うその瞬間を楽しみながら、出会った相手を魅了する。この「人に好かれたい」「人を魅了したい」という欲求こそが、「社交性」という資質の核心です。
振る舞いの特徴
人を魅了したい欲求は、まず「初めて会う人にもためらいなく話しかける」という形で表れます。
「社交性」を上位に持つ人は、初めて会う人であっても、元から友だちのような感覚で接することができます。この資質の説明を聞いたとき、私がいちばん驚いたのがここです。そもそも友だちと会うのに緊張するわけがない。だから、たとえば新幹線や飛行機でたまたま席が隣になった人に自ら話しかけ、あっという間に友だちみたいになってしまうのです。
知らない人の輪の中にもためらいなく入っていけます。本人にとってはそれが当たり前で、緊張する人の気持ちがわからないと思いますが、むしろ緊張しない人の方が圧倒的に少ないのです。だからこそ、それが才能なのです。
自分に対する好感を抱かせる影響力なので、人に対してはにこやかに、笑顔で接します。顔には無意識の笑顔が張りついていて、その笑顔が相手をも笑顔にし、緊張を解きます。「ポジティブ」が加わると、ますますその傾向は強くなります。実際「社交性」と「ポジティブ」の組み合わせを持つ人は多く、「明るく前向き」という表現がぴったりです。「コミュニケーション」も併せ持っていると、初めての相手でも積極的に話しかけ、巧みな話術ですぐに仲良くなれます。
そんな「社交性」を上位に持つ人にとっての栄養は、たくさんの人との出会いです。事務所にこもって新しい人と誰とも会わない仕事には、きっと退屈を覚えるでしょう。
強みとして活かせている状態
この欲求が強みとして機能しているとき、「社交性」を上位に持つ人は、多くの人と出会い、広く人のネットワークを作る人になります。
人類皆友だち。その感覚で、未知の友だちに出会うことを楽しみ、相手を魅了しながら既知の友だちに変えていく。そうやって、幅広いネットワークを作ることに長けています。そのネットワークは実に多様で幅広く、自分が苦もなく作った人脈が、周りの人に役立つ資産になります。周りの人に有益な情報を伝えたり、困っている人がいたら役立ちそうな人を紹介したり。「包含」も併せ持っていると、人を巻き込むことにも長けます。
接客や広報のような仕事を担うと、相手に良い印象を与えやすいだけに、その仕事をうまくこなすだけでなく、自分が属する会社や組織の印象すら良くしてくれます。多くの人との接点から様々な縁ができ、そこからいろんな可能性が広がっていきます。
そして、「ポジティブ」「コミュニケーション」が一緒に上位に来ることが特異的と言っていいくらい多い資質です。そういう人は、とにかく前向きで明るい。自然とチームの中でムードメーカー的な存在になります。困難の中で皆が下を向いて元気をなくしているとき、その場を明るく照らし、勇気と元気を与えてくれる存在です。
妨げになってしまっている状態
同じ欲求が裏目に出ると、まず「いい顔」をしてしまいます。
「社交性」を上位に持つ人の根っこには「好かれたい」があるので、その裏返しで「嫌われたくない」という反応が強く出がちです。人から何か頼まれたとき、やりたくないことでもつい引き受けてしまう。言うべきことがあっても、つい言葉を濁してうやむやにしてしまう。
「コミュニケーション」も併せ持っていると、相手の耳ざわりのいいことを言ってしまいがちですし、「ポジティブ」が加わると、多少無理なお願いでも「まあ何とかなるか」と思ってしまうので、なおさらです。「調和性」があれば、そもそも断るのが苦手なので、必要以上に引き受けてしまいます。引き受けてみたはいいけれど意外と大変で、約束を果たせなければ、自分の信用をなくすことにもつながりかねません。
大事なのは、そのメカニズムを理解することです。「好かれたい」という無意識の欲求が、「頼まれごとを断る=嫌われる」という図式になってしまいやすいのです。でも、自分から見て合わない人、嫌いな人が必ずいることの裏返しで、万人に好かれる人はこの世にいません。そして、そもそも自然体でいるだけで好かれてしまう資質なのですから、頼まれごとの一つや二つ断ったところで嫌われることなど、まず起こりません。
気持ちよくやってあげられることはどんどん引き受ける。一方で、自分に無理をさせてしまうな、しんどいなと思うときには、頑張って「ごめんなさい」を言ってみる。すると、できないことをできないと断ったくらいで人は人を嫌いにならない、ということにも気づけます。疲れたら時々、いい顔をするのをやめてみましょう。
もう一つは、心の距離感のずれです。「社交性」は影響力の資質であり、人間関係構築力ではないので、必ずしも一人ひとりとの深い関係を求めません。それでも無意識に相手に好感を抱かせてしまうので、相手からすると、ちょっと話しただけでもう「お友だち」になれたと感じることがあります。
ところが「社交性」を上位に持つ人からすると、「たまたまお会いしてお話ししただけの人」という感覚かもしれない。相手はしっかり名前を覚えているのに、自分は覚えていない、ということも起こります。一切悪気はなく、ただそれぞれに求めているものが違うだけです。ただ、そうなりがちだと自覚しておくことは大事です。異性間では特に。「親密性」寄りの人からは、表面的な付き合い方しかしないと受け取られることもあります。
効果的に活かす方法
「社交性」を効果的に活かす鍵は、たくさんの人と出会える場に身を置き、その人脈で人と人とをつなぐことです。
まず、日常的に多くの知らない人との出会いのある場に身を置くことです。多くの人との出会いが栄養なのですから、それが得られる環境にいることが、この資質を活き活きとさせます。
次に、その広い人脈を使った他者貢献を意識することです。自分がつながっている人をどんどん他の人に紹介し、つなげてあげる。自分一人ではなかなかつながれない人たちと、つないでもらえる。それは周りの人にとって、とてもありがたいことなのです。
そして、「親密性」を上位に持つ人と組むことです。「社交性」は影響力の資質なので、上位に人間関係構築力の資質がなければ、出会った人と長く続く信頼関係を作るのは苦手かもしれません。その部分は「親密性」を上位に持つ人に任せましょう。
対外的には「社交性」を上位に持つ人が組織の「顔」として交友関係と人脈を広げていき、そのつながりの中で大切なお客様や関係者とは、「親密性」を上位に持つ人が信頼関係を築いていく。理想論ではありますが、そんな仕組みが作れると、「社交性」の幅広さと「親密性」の深さが、人脈づくりにおいて最強の組み合わせになります。
対比される資質
「親密性」と「社交性」は、人との関わり方の広さが対照的です。「社交性」を上位に持つ人は、多くの人との出会いを求めます。広く浅く、多くの出会いを求めるのです。「親密性」を上位に持つ人は、一人ひとりと深い信頼関係を築きたいという欲求から、狭い範囲で深い関係を築くことを求めます。「社交性」が影響力で「親密性」が人間関係構築力であることもポイントです。「社交性」は必ずしも一人ひとりとしっかりした関係を築くとは限らないということです。
この違いは、相互理解がないとすれ違いを生みます。「親密性」から見れば「社交性」は表面的な付き合いをしているように見え、「社交性」から見れば「親密性」は輪を閉じているように見える。しかし、輪を広げる人と、一人ひとりとのきずなを深める人は、どちらも組織に欠かせません。両方が揃うと、人脈づくりにおいて最強の相乗効果を生みます。
他の資質との組み合わせ
「社交性」と「ポジティブ」が組み合わさると、明るく前向きなムードメーカーになります。「ポジティブ」には、物事の明るい面を見て人を元気づけたいという欲求があります。無意識の笑顔にその明るさが重なるので、どんな場にいても場を明るく照らす存在になります。この組み合わせは「ポジティブウー」と呼ばれるほど、よく見られます。
「社交性」と「コミュニケーション」が組み合わさると、初めての相手ともすぐに打ち解けて話が盛り上がる人になります。「コミュニケーション」には、言葉で相手にわかってもらいたいという欲求があります。ためらいなく話しかけた上に巧みな話術で引きつけるので、あっという間に仲良くなれるのです。
「社交性」と「包含」が組み合わさると、人を巻き込んで輪を広げていく人になります。「包含」には、人を区別せず、誰もが輪の中にいる仲間だと感じられるようにしたいという欲求があります。次々と出会った人を、そのまま輪の中に迎え入れていけるので、身の回りにたくさんの仲間がいることになります。
「社交性」と「親密性」が組み合わさると、広く出会い、その中の人と深くつながれる人になります。「親密性」には、一人ひとりと深い信頼関係を築きたいという欲求があります。必ずしも順位が対極に来るわけではなく、両方を上位に持つ人も割といます。出会いの広さときずなの深さの両方を一人で持てる、恵まれた組み合わせです。
このように、「社交性」は組み合わさる資質によって表れ方を変えていきます。ただ、根っこは一つです。多くの人と出会い、相手に自分を好きになってもらいたい。人類皆友だち。そう考えると、この資質を上位に持つ人には、すでに世界中に友だちがいることになります。その感覚を活かし、たくさんの人と笑顔でつながれるその才能を、存分に活かしてください。
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