ストレングスコーチの知識茂雄です。
影響力の資質である「活発性」について解説していきます。
根源的な欲求、動機づけ
「活発性」を上位に持つ人の根源にあるのは、思ったことをすぐに行動に移し、物事をスピード感をもって始めたい、始めさせたいという欲求です。
原語はActivator。活性化する、活動的にする、という意味です。ギャラップの解説には、「最悪の振る舞いは、何も行動を起こさないことだ」という考え方で生きている人たちだと書かれています。ここにすべてが集約されるのではないかと思います。「活発性」を上位に持つ人は、行動してなんぼだと思っています。考えるより先に身体が動いている感じで、相対的にせっかちに見えるのはこのためです。何事も「早く始めたい」のです。
その思考を一言で表現すると、「やってみないとわからない」です。「活発性」を上位に持つ人には、そもそも「失敗」という概念があまりありません。ないと言うと語弊があるかもしれませんが、少なくとも「うまくいかないことがあっても当たり前」という感覚があります。だからこそ、まずやってみることを選択するし、うまくいかなければまた別のやり方でやればいいという感覚です。
影響力の資質なので、そのスピード感を他者にも求めます。周りの人を「早く、早く」とせき立て、突き動かす。この「すぐに始めたい、始めさせたい」という欲求こそが、「活発性」という資質の核心です。
振る舞いの特徴
すぐに始めたい欲求は、まず「行動にためらいがない」という形で表れます。
「活発性」を上位に持つ人は、自分が「こうしたい」と思ったことをためらいなく行動に移します。行動を起こしてなんぼと考えるので、リスクを取ることを恐れません。うまくいかないなら速攻で引き返して、また次の方法を考えればいいと思えるからです。むしろ、行動を起こしたことによって、うまくいかないことがわかったことそのものを評価します。
極力、行動につながらない時間を減らしたいという感覚もあるので、情報収集や確認を人に求めるときは、即回答があることを求めます。「早く、早く」と背中を押して急き立てるようなイメージです。
次に、「物言いが率直」という形で表れます。話すという行為も一つの行動ですから、ここもやはり一旦停止する感覚がなく、思ったことがそのまま口をついて出て「しまう」のです。裏表がないとも言えます。「共感性」や「調和性」を上位に持つ人からすると、あまりにストレートすぎて、言われてどきっとすることがあるかもしれません。でも、「活発性」を上位に持つ人は思ったことをそのまま率直に口にするだけなので、言われたことをそのまま受け取ればいいのです。
たとえば「あれ、どうなってる?」とただ尋ねられたとき、「調和性」や「共感性」を上位に持つ人は無意識にあおられている体で受け取って、できていない理由を一所懸命に説明しようとしがちです。でも、「活発性」を上位に持つ人にとっては「状況を知りたい」以外の他意はまずありません。
物言いが率直な人は、率直に言ってほしい人でもあります。回りくどい言い方は好まないので、できるだけ率直に伝えるといいですし、たとえ厳しいフィードバックであっても「確かにそうだ」と思えば素直に受け取る人でもあります。
周りに「活発性」を上位に持つ人がいる場合は、メールの返事をとにかく早くすることを心掛けてあげてください。「慎重さ」「調和性」「共感性」などを上位に持つ人は、ついつい相手を慮って返事が遅くなりがちですが、それは「活発性」を上位に持つ人をいらいらさせてしまいます。すぐに結論が出ない場合は「◯◯までに検討して返事します」でもいいので、とにかく応答を早くするのが、うまく付き合うコツです。
強みとして活かせている状態
この欲求が強みとして機能しているとき、「活発性」を上位に持つ人は、未知の世界にためらいなく飛び込み、周りを突き動かして物事を前に進める人になります。
何事もまずやってみることを大切にするので、皆が不安におびえる未知の世界にためらいなく飛び込んでいきます。そしてそこには、一歩踏み出した者にしか見えない世界が広がっている。そうやって未知を既知に変えていく姿勢が、物事を大きく前に進ませます。「幸運の女神には前髪しかない」ことを知っていて、「ここだ」と思えばためらいなく動き出す。
その姿勢ゆえに、まれにしか来ないここぞという機会を逃さずとらえ、物にします。従来の延長線上にいては決して手に入らないものを手に入れられるのです。その姿に、周りの人は頼もしさを覚えます。
そして、チームや組織を活性化させます。何かが行きづまった場面で、みけんにしわを寄せて顔を突き合わせて考え続けても、なかなか前には進みません。「活発性」を上位に持つ人の「ひとまず動いてみよう」という感覚は、こういう場面でとても有効です。動いてみることで必然として何かが起こり、何かが起これば、このアクションに対してはこうなるのだという事実がわかる。つまり、新たな判断材料が得られます。
動かずに考え続けていても、新たな判断材料がない限り、新たな考えが湧いてくることもありません。先々をあれこれと心配して動けなくなっている人たちに「まずやってみよう」と促し、前に進ませる。「活発性」を上位に持つリーダーは、チーム全体にスピード感をもって取り組む活力を与えられます。「失敗」を恐れていては世界は広がっていきません。周りを突き動かしながら何かを打破していくそのエネルギーが、「活発性」の最大の強みです。
妨げになってしまっている状態
同じ欲求が裏目に出ると、まず少し間を置いて考えてから動いた方が、結果的に良かったということが起こります。
思い立ったらすぐに動いてしまうので、周到に準備をすれば予見できていたかもしれない問題に直面することがあります。他の人の意見を十分に聞かずに自分の考えだけで突き進んでしまい、チーム全体の合意が得られないまま進めてしまうこともあります。いかにやってみることが大事とはいえ、取り返しのつかないような失敗になっては意味がありません。ただ、「活発性」を上位に持つ人は思考から行動の間に文字通りの「間」を置くことが難しいのです。
気がついたら動いていた、という感じなので。だから「もっと慎重に」と助言するのも、自分で意識するのも、あまり意味がないと思います。反射的に動いてしまうのは仕方ないので、動いた瞬間に自分で気づいて立ち止まれるかが勝負です。一瞬立ち止まり、そのまま進むことが本当に生産的なのかを考えて判断する。その一瞬の「間」を持つことを意識するのです。
そして、自分一人で何とかしようとするのではなく、他者に頼るのが賢明です。リスクの予測に長けた「慎重さ」を上位に持つ人に、少なくとも大きな事故にならないようブレーキ役をお願いする。「何か心配なことがあったら指摘してね」「進め方に不備がありそうなときはいつでも言ってね」と頼んでおくのです。
もう一つは、終わらせるとは限らないことです。「活発性」は始める才能であって、終わらせる才能ではありません。影響力の資質であり実行力ではないので、始めたことをやり切って完了させる才能ではないのです。実行力の資質を上位に持つ人からすると不思議な感覚だと思いますが、よく考えれば当たり前でもあります。始めてしまったことのすべてを完了させないといけないとしたら、気軽に始められませんよね。必ずしも完了させる必要はないという前提があるからこその、始める才能なのです。
一旦引き受けると何が何でも約束を果たそうとする「責任感」と対比で考えるとよくわかります。「責任感」を上位に持つ人は、引き受けた以上はやり切るのが前提になるので、引き受けること自体に慎重になります。「活発性」の場合は、やってみてうまくいかなければいつでもやめていいし、別の方法を試せばいいという考え方です。ただ、その方向づけをしないまま、ただ始めては放ったらかすを繰り返していたら、周りの人からあきれられてしまいます。
いろいろ思いついたらやってしまうという意味で、飽きっぽい人と見られることもあるでしょう。特に「着想」を併せ持つと、次々に思いついてあれこれと「つまみ食い」してしまう感じになるかもしれません。ここはもうあきらめるしかない部分でもあり、それが良さでもあります。対処としては、実行力の資質を上位に持つ人に始めた後のフォローを任せること。自分は始めて軌道に乗せるところまでを担い、以降を実行力の高い人に任せるのが現実的です。
そして、人を押しすぎることです。物事を早く前に進めたい気持ちが強いため、返事がないと思うと頻繁に「まだ?」と催促してしまったりします。早く次に進みたいという特性自体はなくせないので、自分がついつい悪気なく押してしまうことを、周りの人たちに理解しておいてもらうことが大事です。
効果的に活かす方法
「活発性」を効果的に活かす鍵は、停滞している場を動かす役割を担うことと、思考を借りる相手を持つことです。
まず、自分の資質を最も効果的に活かせる場面を意識することです。「どこに向かっていけばいいのか」と停滞感のあるチームや組織の中にあって、「とりあえず動こう」と動きを与え、活性化してくれる存在になり得ます。ひとまず動き出すことで周りの景色も変わり、新たに見えてくるものも出てきます。行きづまった状態にあるチームや組織に「まずできることからやってみよう」と働きかけ、刺激を与え、揺り動かす。
それが、この資質の最も効果的な活かし方です。ためらっているメンバーに「何もせずに立ち止まっているより、まずやってみようよ」と声を掛け、背中を押す役割も同じです。
次に、自分に選択の自由がある環境を選ぶことです。「活発性」を上位に持つ人は、どんなことであっても自分に選択肢があり、自分で決められることが大事です。だから、極力自分に選択の自由が与えられている環境を選びましょう。「指令性」を併せ持っている場合は、なおのことこの観点が大事になります。
そして、思考を借りることです。思いついた瞬間に動き出すだけに、思考系の資質が低いと無駄な動きも多くなりがちです。動く前に思考し、無駄に動くことのない「戦略性」や「分析思考」を上位に持つ人に思考を借りると、素早く、無駄なく成果を出せるようになります。中には「活発性」と「戦略性」を併せ持つ人もいて、そういう人は動きながら考え、考えながら動ける人です。
また、実行力の資質でもある「慎重さ」を上位に持つ人と組むことで、無駄な手戻りを防ぎつつ、自分が「火をつけた」案件を確実に形にしてくれます。思考なき行動は無駄ばかり生み出すかもしれないし、行動なき思考からは何も生まれません。だからこそ、強みを活かし合い、弱みを補い合う協業が大切なのです。
対比される資質
「慎重さ」と「活発性」は、「失敗」の位置づけが対照的です。「活発性」を上位に持つ人は、「やってみないとわからない」と考え、うまくいかないことがあっても当たり前という感覚で、まずやってみることを選びます。「慎重さ」を上位に持つ人は、リスクを予測して備え、確実に進めたいという欲求から、失敗をやってはいけないものととらえがちで、最初からうまくいくようにリスクを検討し、慎重に準備をします。石橋を叩いて渡る感じで、そこに強みがあります。この二つの資質はよくすれ違いがちです。
この違いは、相互理解がないとすれ違いを生みます。「活発性」から見れば「慎重さ」は考えすぎて動けないように見え、「慎重さ」から見れば「活発性」は準備不足のまま走り出しているように見える。しかし、両者はお互いの強みを活かし合い、弱みを補い合えます。
「慎重さ」を上位に持つ人が考えすぎて動けないときに「やってみなけりゃわからないよ。ひとまずやってみよう。何かあったら手伝うから」と背中を押し、「活発性」を上位に持つ人が準備不足のまま始めようとしているときに「ちょっと待って、これはどうなってる?」と良い意味でブレーキを掛ける。その意味で、この二つを持つ人同士は最高のパートナーとも言えるのです。
他の資質との組み合わせ
「活発性」と「戦略性」が組み合わさると、動きながら考え、考えながら動く人になります。「戦略性」には、先を読んで最善の道筋を選びたいという欲求があります。まずやってみるを大切にしつつ、頭の中には常に選択肢があり、このままでは行き止まりだと思えばすぐに方向転換して立て直す。そうやって未知の領域を開拓していきます。
「活発性」と「指令性」が組み合わさると、迅速で決断力のあるリーダーシップを発揮する人になります。「指令性」には、自分が主導権を握って物事を決め、動かしたいという欲求があります。「今すぐ対応策を考えて実行しよう」と明確に指示を出し、率直な物言いで皆を動かすので、遅れている物事を一気に動かせます。どちらも思ったことをそのまま口にする資質なので、率直さはさらに際立ちます。
「活発性」と「着想」が組み合わさると、新しい考えを次々と実行に移す人になります。「着想」には、新しい考えやつながりを見つけて楽しみたいという欲求があります。思いついた瞬間に「すぐに試してみよう」と行動に移すので、実現への第一歩を誰よりも早く踏み出せます。一方で、次々に思いついてつまみ食いになりやすいので、方向づけを意識するといいでしょう。
「活発性」と「達成欲」が組み合わさると、スピード感をもって次々と成果を出す人になります。「達成欲」には、取り掛かって終わらせたい、同じ時間でより多くのことを成し遂げたいという欲求があります。始める才能に終わらせる力が加わるので、仕事量の多さにひるむことなく、一つずつ素早く片づけていけます。
このように、「活発性」は組み合わさる資質によって表れ方を変えていきます。ただ、根っこは一つです。思ったことをすぐに行動に移し、物事を始めたい、始めさせたい。世界を今に留まらせず、開拓していく。何事にもためらいなく動き出せるその強みで、周りを突き動かしながら何かを打破していく。その自分の役割を自覚すると、より活かせるようになると思います。
上記はギャラップに承認されたものではなく、ギャラップの認可も推薦も受けていません。クリフトンストレングス®(ストレングスファインダー®)に関する意見、見解、解釈は、株式会社ハート・ラボ・ジャパン代表 知識茂雄だけの考えです。
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