振る舞いの特徴
「調和性」は、自分と他者の意見の一致を強く求める資質です。意見の対立を好まず、合意を重視するため、時には自分の意見を強く主張せずに相手に合わせることがあります。そのため、「調和性」が上位にある人は自己主張が比較的少ない傾向があります。 周囲の人たちと意見を合わせたいと考えているため、会議などで周りの意見を聞く前に発言を求められると抵抗を感じることがあります。一度他の人たちの意見を聞いた上で、それらの意見と自分の意見をすり合わせて合意形成をしたいと考えるからです。 相手に合わせることが多いからといって、自分の意見を持たないわけではありません。誰しも自分なりの意見は持っていますが、それを強く主張せず、合わせられるところは合わせることを選びがちです。 さらに、「調和性」は物事を現実的に考える資質でもあります。あまり非現実的な夢を描かず、現実的に着実に物事を進めたいという思考から来ています。このように、「調和性」は発散型の思考ではなく、収束型の思考とも言えます。突飛なアイディアを思いつくことはあまり得意ではないかもしれませんが、それは無意識なので自覚している人は少ないでしょう。根源的な欲求、動機づけ
「調和性」は人間関係構築力として分類されていますが、実行力にも関連する資質です。意見の合意を求めるのは、その方が着実に物事を前に進められると考えるからです。地に足のついたやり方で物事を前進させたいというのが「調和性」の持つ根源的な欲求です。強みとして活かせている状態
「調和性」は、異なる意見が飛び交う中で無意識に合意できるポイントを探しています。例えば、新聞やネット記事で異なる立場の識者の意見が掲載されている場合、まったく異なる意見であっても、その両方に「なるほど、確かに」と思うことがあります。 「調和性」の最大の強みは、一見すると着地点が見出せないような様々な意見が飛び交う中で、最大公約数的な合意点や着地点を見出し、全体を合意に導いていけることにあります。これにより、多くの人が納得感を持って物事に取り組めるようになります。 「調和性」は合意を得たいという特性から対立を好みません。意見の対立、特に感情的な対立が発生しそうな場合に敏感に察知し、その対立の芽を摘むことができます。たとえば、誰かの発言が言葉足らずで誰かを傷つけたり、不快に感じさせたりしそうな場合には、自ら情報を補足したり、本来の意図を正確に伝えることで調整を図ります。 また、「調和性」は現実的に物事を考えるため、非現実的なアイディアが飛び交う中でも、それをどのように実現するかを常に考えています。発散したアイディアを収束に向かわせ、物事を確実に形にしていく役割を担います。妨げになってしまっている状態
「調和性」の対立を嫌う感覚が行き過ぎると、過度に自己主張を抑えてしまうことになりかねません。それでも、実際には自分の考えや意見を持っていないわけではないので、自分の意見が反映されないと感じると少なからずストレスを感じます。 例えば、会議が終わった後に「本当はこう言いたかったんだけど」と後になってぶつぶつ言ってしまうことがあります。それを聞いている周りの人たちは、「その場で言えばいいのに」と感じることもあるでしょう。 自分は自分の意見を抑えてでも合意を大切にしているけれども、必ずしも周りの人が同じように感じているわけではありません。意見の対立があるのは当たり前だと思っている人が多くいるという事実を踏まえ、大事な局面では時には思い切って自己主張することが必要です。 その場で自己主張しなかった以上、言わないことを自分で選んでいるわけなので、後で文句を言わないことも大切です。その意味で「調和性」が高い人はアサーティブなコミュニケーションを身につけると良いでしょう。 私自身もそうでしたが、自己主張をあまりに抑え過ぎてしまうと、時々抑え込まれた感情が爆発することもあります。また、「この人とは意見が合わないな」と感じると議論そのものを放棄してしまうことも起こりがちです。「調和性」を持つ人が急に黙り込んで存在感を消すようなことがあれば、それが起こっている可能性が高いです。 次に、「調和性」の思考は非常に現実的なので、例えば「着想」が高い人の突拍子もない発想に対して心が乱されることがあります。「そんなのどうやって実現するの?」「予算は誰が出すの?」など、必ずしも現実的ではないアイディアに対して否定的な思考が生じます。そのため、無意識に現実的でないと思うアイディアを潰してしまうことがあります。 しかし、物事というのは現実的に考えてばかりいても大きな進歩は見込めません。アイディアというのは数が大事であり、極論すれば100個のアイディアのうち1個が当たれば良いものです。自分がついつい現実的に考え過ぎてしまうということを自覚して、発散が求められる場面では無理に現実的な思考で議論を収束させないようにすることが必要です。 「調和性」は何事も真に受けやすい資質とも言えます。例えば、他の人から社交辞令として「今度食事にでも行きましょう」と言われても、それを真に受けてしまい、いつか誘ってもらえるものとして思い込んでしまったりします。この特徴が何かを大きく妨げることにはならないと思いますが、自分が何かと真に受けやすいということを自覚しておくことは大切です。効果的に活かす方法
「調和性」は、異なる意見の中に共通点を見出し、合意に導く才能です。この才能を適切な場面で使っていくことが大切です。例えば、会議を運営する際には、意見を出し合い(発散させ)収束させるプロセスが必要です。「調和性」の出番は収束の場面です。一通りの意見が出揃った時点で、結論に向けて意見をまとめることは「調和性」の得意とするところです。 それぞれの異なる意見を聴きながら、どこで折り合いをつけるか、どこに着地すれば多くの人が納得できるかを考え、導いていくことができます。また「調和性」は、現実的・実践的に物事を考えることができるので、決まったことを形にしていくための視点を提供できます。具体的には、手持ちのリソース(時間、人員、技術、お金など)で何をどこまでできるのか、または何ができないのかを考え提案することです。「調和性」は、地に足のついた実践が得意な資質です。 「調和性」は対立を嫌うため、大きな感情的な問題が起こる前にその芽を摘み取る役割も担います。プロジェクトの進行において不満を持っている人がいることを察知すると、その人に必要な情報を提供したり、場合によってはその人の不満を代弁したりして、ささいな感情のもつれが大きな対立にならないように配慮します。 こうした細かな配慮が「調和性」の強みです。それを自覚してより広く繊細にアンテナを張り巡らせることで、周囲からの信頼も厚くなります。ただし、やり過ぎには注意が必要です。すべての対立を避けるのは無理ですし、対立そのものを悪いと考えない人もいます。全体を俯瞰し、バランスよく対応することが求められます。 「こういうことを気にしているのではないか?」と思っていたことが、本人は意外と気にしていないこともあります。自分が気を遣いすぎて疲れてしまうのも本末転倒です。どんな資質であっても同じことですが、他者貢献として自分の強みが発揮できる場面をしっかりと認識し、無意識に出過ぎないように意識的にマネジメントすることが大切です。対比される資質
クリフトンストレングス®(ストレングスファインダー®)の資質には、統計的に上位で一緒に現れるものと、離れやすいものがあります。その中でも「調和性」と「戦略性」は、かなり離れることの方が多い資質同士です。順位が離れやすいというのは、思考パターンが大きく異なることを意味します。 「調和性」は合意を好み、対立を嫌う資質ですが、その真逆ということではありません。「調和性」は、複数の人たちで物事を進める際には基本的に全体で合意を得て進めていくことを重視します。もちろん、それが叶わないことも理解しつつ、できる限り合意に向かいたいという思考からは逃れられません。 一方で、「戦略性」は、ある成果を出すためのアプローチが一つではないと考えます。つまり、合意を得るのが最も効率的で合理的だと思えばその選択をし、逆に合意を得なくても先に進めた方が得策だと思えばそちらを選択するという感覚があります。 別の言い方をすると、「調和性」は収束型の思考で、物事の進め方についてあまり広げようとは思わず、地に足のついた現実的な選択をします。しかし、「戦略性」は可能性がある限り様々な方法を探ります。他の資質で言うと、「戦略性」と「着想」は共に上位に持つ人が多い資質同士であり、そのため「調和性」と「着想」は順位が離れることが多いです。 「調和性」があまり多様な視点を広げたがらないのに対し、「着想」はあらゆる視点から可能性を探り、新しいやり方を見つける感覚を持っています。これが両者が離れやすい理由です。 多くの場合、「調和性」上位の人にとって「戦略性」的な思考は、ある意味憧れの対象となります。しかし、人それぞれの思考パターンは簡単に変えることはできません。だからこそ、重要なのは役割分担です。新しいことに取り組む際にうまいやり方やアイデアが浮かばないとき、「戦略性」や「着想」を持つ人の知恵を借りる。そして、自分は自分の得意なことでお返しをする。このように強みを活かし合い、弱みを補い合う関係を築くことが理想です。他の資質との組み合わせ
「調和性」は自分の意見をあまり主張せず、周囲の人の意見を受け入れる傾向があります。それに「適応性」が加わると、良くも悪くも受け身な感じになることが多いです。自分がやりたいことや言いたいことを主張するよりも、流れに任せて周囲からの求めに柔軟に対応します。 「調和性」と「共感性」が上位にあると、サポーター的な傾向が強くなります。他者を優先し、相手の気持ちに配慮しながらさりげなくサポートします。細かなところに気付き、相手の気持ちを大切にすることで、周囲の人たちから感謝されるでしょう。しかし、これらの組み合わせだと自己主張が薄くなり、他者優先が行き過ぎて自分を疲弊させることもあります。 アサーティブ・コミュニケーションを学び、対等なコミュニケーションを心掛けると良いでしょう。「調和性」は対立を嫌うため、本当に言いたいことがあっても言わないことが多くなります。そのため、「責任感」や「公平性」などの「こうあるべき」「こうあらねば」を持つ資質との組み合わせではストレスを溜めやすくなります。 自分の基準に照らして他者の言動が間違っていると思っても、「調和性」がブレーキを掛けるため、結果的にストレスとして溜まります。例えば、「調和性」と「責任感」の組み合わせでは、普段のストレスが溜まりやすく、時々大爆発することもあります。そうならないように、普段から言うべきことをアサーティブに言うことを意識し、他の人の価値観が自分と異なることを念頭に置き、「べき」や「ねば」を緩めていくことが大切です。上記はギャラップに承認されたものではなく、ギャラップの認可も推薦も受けていません。クリフトンストレングス®(ストレングスファインダー®)に関する意見、見解、解釈は、株式会社ハート・ラボ・ジャパン代表 知識茂雄だけの考えです。
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