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上位資質の動機付けを望ましい行動につなげる

私がストレングスコーチとしてコーチングを提供する上で大切にしているのは、相手の方のストレングスファインダー®の資質を見ながらその人の特性に合わせたアプローチを取ることです。

わかりやすいところで言うと、「未来志向」上位の人であればその人が実現したい未来を大いに語ってもらうことでモチベーションが上がりやすいと思いますし、十分に未来のビジョンを描いた後の

「では、その未来を実現するために何が必要ですか？」

的な問いが機能しやすいと思います。

上記はコーチングの一般的なアプローチでもありますが、「未来志向」上位であればより未来を語ることに時間を割いた方がモチベーションが上がり易い面があると思います。

もちろん、「未来志向」＝未来を語ってもらうという単純な図式ではなく、「未来志向」だからこそ、普段振り返ることの少ない過去を敢えて振り返ってもらうこともあります。

大事なのは、その人の思考の特性を踏まえ、その人のテーマに沿い、状況に応じて適切なアプローチを選択すること。

これは個人として自分の特性を踏まえてより良い言動を選択していく上でも同じように大切なことです。

特に大事だと思うのは、同じことをやるにしても人それぞれにそれを実行していく上での動機付けは異なるということを理解しておくということ。

例えば、大きく言うと実行力の資質が上位に固まっている人と、人間関係構築力の資質が上位に固まっている人では行動につながる動機付けが異なります。

実行力上位の人は、ヒトよりもコトに意識が向きやすく、行動する意味は、何かを形にして成果を得ることにあります。

一方、人間関係構築力上位の人は、コトよりもヒトに意識が向きやすく、行動する意味は誰かのため…だったり、誰かを喜ばせるため…だったりします。

もちろん実際にはそれぞれに複雑な資質の組み合わせを上位に持っているので、そうそう単純なことではありません。

それでも、いずれにしろ大事なのは、自分がどこに主に意識が向きやすいのかを把握しておいてそれを活かすということです。

例えば実行力の資質、あるいは戦略的思考力の資質が上位で、人間関係構築力の資質が比較的下位の人が周囲の人たちとの人間関係の構築に苦手意識があり、悩んでいるとします。

その場合、それを何とかしたいと思うと、多くの場合は「人間関係構築力の資質が上位の人のようにならねば…」と思い込んでしまっていると思います。

そして、例えば、「人に関心を持ち、人の心を理解しなければ…」と意識して頑張ろうとすると思います。

でも、そういうのは残念ながら長続きはしないのです。

では、どうするか？

自分が元々当たり前として持っている動機付けを活かすのです。

具体的には、自分なりの動機付けを活かし、人間関係構築力の資質が上位の人がやっていることを“実行”していくということ。

人間関係構築力の資質が上位の人と全く同じようにはできないまでも、自分の上位資質の動機付けを活かしつつ、望ましい行動を“真似る”ということです。

人間関係構築力の資質が上位の人は、必然的に周囲の人との何らかの関わりの頻度が高くなっているはずです。

なので、例えばあいさつであるとかちょっとした声掛けを、自分の上位資質をうまく活かし実行していくことを考えるのです。

例えば「規律性」上位の人であれば、ルーティン的に決めたことを実行するのは苦も無くできるはずです。

なので、朝一で全員に名前を呼びつつ挨拶をして回るというようなことを習慣として実施していけば、それほど苦労することなく周囲の人たちとの関わりが作れると思います。

こんなふうに、たとえこちらの意識として作業的にやっていたとしても、関わりがゼロなのと毎日毎日こちらから関わっていくのとでは相手の印象はまったく違うはずです。

そして、繰り返し、繰り返し人と接することで、人と接することへの苦手意識も薄れていくので、時間が経てば経つほどより自然に周囲の人たちと接することができるようになり、信頼関係も構築されると思います。

詳しくは書きませんが、私が管理職の頃は別の資質を動機付けに同じようなことを実施し、実際に部下との信頼関係が深くなったことを実感しました。

こんなふうに、自己理解を深めていくことでより望ましい行動が無理なく取れるようになります。

その意味でもストレングスファインダー®はただ診断を受けただけではもったいないツールだと思います。

資質、そしてそれらの組み合わせから自分の動機づけがどこにあるのかを明確にし、意識していくことで、それまで以上にいろんなことがうまく回り始めると思います。