たとえば、1on1で仕事を振り返るたびに、部下から「自分は言われたことしかできません」と反省の言葉が出る。自分へのダメ出しが続き、次の仕事で何を試すかまで話が進まない。
そんなときは、起きた出来事と、本人が自分に下している評価を分けて聴いてみてください。何をしたのか、何をダメだと感じたのかを具体的に聴き、次の仕事でどうしたいかを一緒に考えます。
人と違うだけなのに、自分を責めた
長野で参加した自己基盤の合宿で、気がついたことがあります。2日目に、今回参加した目的を言葉にして書く時間がありました。
私が書いたのは、合宿のテーマである「人生を単純にする」に沿ったものでした。参加の目的なのだから、テーマに沿う必要があると、当たり前のように思っていました。
ところが、他の人が書いたものは、必ずしもテーマに沿っていません。それを見て、みんなは自由に書けているのに、自分はこんなところでも無意識に枠にはめようとしてしまう、と思いました。
人と違った。ただそれだけのことなのに、自分のダメさとして受け取っていました。何をどう書こうが自由なのだから、私がテーマに沿って書いたことも、その自由の中にあるはずです。頭では分かっていても、そのときはそう感じられませんでした。
出来事の受け取り方は、なぜ変わるのか
今回の私は、あまり状態がよくないまま参加していました。思考がネガティブに寄っていたのだと思います。状態がよければ、同じものを読んでも、人と違うことをむしろ面白がれたはずです。出来事は同じでも、受け取る側の状態で意味が変わります。
合宿のワークで、話しているとよく投げかけられるのが、こんな問いです。
「それって、本当にダメなことなんですか?」
問われて、ようやく我に返ります。そのときの自分の状態によって、書いたものをダメだと感じていたのだと気づき、冷静な視点を取り戻せます。でも、自分1人では、なかなか戻れません。
自分と向き合おうとして、自分を責める材料を探してしまう。そんなときに他の人と話し、問いを受ける意味があるのだと思います。職場なら、1on1がそうした場の1つになります。
1on1で、出来事と自己評価をどう分けるか
冒頭の部下には、まず「そう感じた場面を、もう少し聞かせてもらえますか」と尋ねるところから始めます。
たとえば、部下が頼まれた仕事を終えて報告したところ、同僚は頼まれていないことまで進めていた。それと比べて、自分は言われたことしかできないと感じていた、という話だったとします。
頼まれた仕事を終えて報告したのが、本人のしたことです。同僚と比べて自分はダメだと感じたのが、そこから自分に下した評価です。両方を聴いたうえで、「頼まれた仕事は終えたけれど、同僚と比べて、言われたことしかできていないと感じたんだね」と、受け取った内容を返すことができます。
この段階では、仕事として必要な対応が抜けていたかどうかは、まだ分かりません。続けて「同僚の仕事の進め方と比べて、自分のどの点が気になったのですか」と尋ね、本人がダメだと感じた点を、もう少し具体的に聴けます。
次にしたいことは、話を聴いてから
合宿での問いをそのまま部下に向けると、部下には「ダメだと思うあなたの考えがおかしい」と聞こえるかもしれません。部下が何をダメだと感じたのか、その理由を知ろうとして関わりたいところです。
同僚のように仕事の範囲を広げたかったのか、頼まれた仕事の中に気になる点があったのか。本人の話を聴いたうえで、何をどこまで頼んでいたのか、仕事として必要な対応に抜けがあったのかも、一緒に確かめます。
本人が変えたい点を話したら、「次に同じ場面があったら、どうしたいですか」と尋ねてみてください。何を試すかは、その返事を聴いてから一緒に考えられます。
1つ問いかけても、すぐに見方が変わるとは限りません。反省の言葉が続くときは、その言葉のもとになった具体的な場面に、もう一度耳を傾けてみてください。
こうした場面で評価や結論を急がずに聴く関わり方を、1on1のやり方研修で練習できます。聴く・訊く・認めるの3つを、部下の資質を手がかりに、上司役・部下役・観察役を交代するロールプレイで練習する管理職向けの研修です。資質は、ストレングスファインダー®で分かる、その人が自然に繰り返す考え方や感じ方、行動のパターンのことです。人数や時期が決まっていなくても、ご相談いただけます。
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上記はギャラップに承認されたものではなく、ギャラップの認可も推薦も受けていません。クリフトンストレングス®(ストレングスファインダー®)に関する意見、見解、解釈は、株式会社ハート・ラボ・ジャパン代表 知識茂雄だけの考えです。
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