— a note to myself
他人を許せないとき、
許せていないのは自分自身だった
— Finding the source of my anger through StrengthsFinder
以前の私は、期日を守らない人が許せませんでした。
「引き受けたなら、やり遂げるのが当然だろう」
「期日を延ばしてほしいなんて、よく言えるな」
表面上は穏やかに対応しながら、内側ではずっと怒りがくすぶっている。そんな状態が何年も続いていました。
なぜそこまで怒るのか。きっかけをくれたのは、クリフトンストレングス(ストレングスファインダー)でした。ギャラップ社が開発したこのツールは、人が無意識に繰り返す思考・感情・行動のパターンを34の資質として明らかにしてくれます。
私の上位にあったのが責任感Responsibilityです。
この資質の根源にあるのは、「自分がコミットしたことを完全にやり遂げたい」という欲求。単に真面目というのとは違います。一度「やります」と言った瞬間、それは心理的な契約になる。名前を賭けた誓約になる。だからどんなに大変でもやり遂げるし、「間に合いません」と言うことは自分の誠実さを傷つける行為に等しい。
つまり私は、「間に合わないと言うこと」を自分に許していなかった。自分に禁じていることを、相手が平然とやっている。だから腹が立っていたのです。
問題はもう一つありました。上位資質の調和性Harmonyです。
調和性の根源的な欲求は、対立を避け、合意を通じて物事を前進させること。摩擦を起こしたくない。波風を立てたくない。
この二つが掛け合わさると、特有の苦しみが生まれます。
誰かに仕事を頼まれる。もう手一杯。でも調和性が「断ったら関係が悪くなる」とブレーキをかけ、責任感が「引き受けた以上はやり遂げなければ」と追い打ちをかける。断ることもできず、引き受けたら全力で完遂しなければならない。
しかも自分が大変なときでも人に頼れない。「迷惑をかけてはいけない」と思い込んでいたから。
結果、自分だけが疲弊していく。そして、気軽に頼みごとをしてくる人、期日に遅れても「すみません、もう少しかかります」とあっさり言える人に、イラッとする。
でも本当に許せていなかったのは、相手ではなく、「人に頼る自分」「断る自分」の方でした。
同じ資質でも、それが「役立つ面」として表れることもあれば、「妨げになる面」として表れることもあります。責任感が「この人に任せれば安心」という信頼を生むこともあれば、断れずに抱え込んで自分を追い詰めることもある。資質そのものが良い悪いではなく、表れ方が変わるのです。
あの頃の私は、「期日は絶対に守らなければならない」「断ってはいけない」と、すべてが「〜すべき」で動いていました。恐れや義務感がエンジンだったから、いくら頑張っても満たされなかったのだと思います。
あるとき、また仕事の依頼が来ました。
いつもなら反射的に「分かりました」と返す。でもそのとき、指先がキーボードの上で止まりました。今の自分に余裕がないことは、自分がいちばん分かっている。ここで引き受けたら、また同じことの繰り返しだ。
「すみません、今回はちょっと難しいです」
送信ボタンを押した瞬間、心臓が跳ねました。調和性が「関係が壊れる」と叫び、責任感が「期待を裏切った」と責める。手のひらが汗ばんで、返信が来るまでの数十秒が永遠に感じられました。
相手の返事は、
「あ、そうですか。
じゃあ他の人に聞いてみますね」。
それだけでした。
拍子抜けするほど、あっけなかった。壊れると思っていた関係は、何一つ変わらなかった。
あの瞬間、「断ってはいけない」が「断ることも選べる」に変わりました。自分と相手の間に、初めて一本の線を引けた感覚がありました。
不思議なもので、自分に「断ること」を許した途端、期日に遅れる人への怒りが少し和らぎました。完全に消えたわけではありません。責任感は今も変わらず私の中にあるし、それは大切にしたい資質です。
ただ、以前のように相手を心の中で断罪することは減りました。「この人は"間に合わないと言うこと"を自分に許しているんだな」と、少し引いて見られるようになった。
自分に許せることが一つ増えると、他者に許せることも一つ増える。
もしあなたが誰かに「許せない」と感じているなら、少しだけ立ち止まってみてください。
調和性が上位にある人なら、「場の空気を乱す人」が許せないかもしれない。でもそれは、自分に「本音を言うこと」を許していないからかもしれない。達成欲が上位にある人なら、「怠けているように見える人」が許せないかもしれない。でもそれは、自分に「休むこと」を許していないからかもしれない。
あなたの「許せない」は、あなた自身への禁止令の裏返しかもしれません。
その禁止令を一つ手放すだけで、少しだけ楽になれる。私自身が、そうでした。
— with my strengths, not against them.
