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資質の残念な使い方から抜け出せない理由

ストレングスコーチの知識茂雄です。

ストレングスファインダー®で見つけた上位資質は、大きな成果を生み出す力を秘めています。けれど、その資質がいつもプラスに働くとは限りません。時に「残念な使い方」になってしまい、自分を追い詰めたり、周囲との関係に負担をかけてしまうことがあります。

達成欲の例

例えば「達成欲」が高い人は、毎日のタスクを一つひとつ終えていくことで大きな満足感を得ます。この行動力や粘り強さは周囲からの信頼につながり、安定した成果をもたらす強みです。

ところが、この特性が過剰になると、体調が悪いときや余力がない状況でも「やり切らなければ」と自分を追い込み、休むことができなくなります。一時的に成果を出せても、長期的には疲弊し、本来のパフォーマンスを維持できなくなってしまうこともあるのです。

なぜ気づいてもすぐに修正できないのか

自分の資質が裏目に出ていると感じても、なかなか使い方を変えられないのには理由があります。ここでは5つの観点から整理してみましょう。

1 無意識の思考パターンになっている

資質は、その人の物事の見方に強く影響します。意識しなくても、資質特有の視点から考え始めてしまうのです。

例:「慎重さ」が高い人は、新しい提案を聞いたとき、自然と「まず整えてから」「まずリスクを検討してから」と考えます。本人は無自覚でも、その資質が思考の入口を決めているのです。

2 成功体験がやり方を固定化する

資質を通じて成果を出してきた経験は、「この方法こそ正しい」という思い込みを強化します。

例:「達成欲」で多くのタスクをこなし評価されてきた人は、「量をこなすことこそ成果」と信じやすくなり、その枠から抜け出せなくなります。

3 資質の根底にある欲求が抑えられない

資質には「こうでありたい」という根本的な欲求があります。それを抑えると「自分らしさを失うのではないか」と不安になるのです。

例:「目標志向」が高い人は、明確なゴールが見えない状態に強い不安を覚え、「方向を失った自分には価値がないのでは」と感じやすいのです。

4 反射的に行動が出てしまう

得意な領域では、考えるよりも先に資質が行動を引き起こすことがあります。

例:「指令性」が高い人は、緊急時に周囲の意見を待たずに即座に指示を出してしまいます。振り返って「もっと言い方を工夫できた」と気づいても、瞬間的には反射のように動いてしまうのです。

5 周囲の期待が同じ振る舞いを求める

長く評価されてきたスタイルは、環境や周囲の人からも期待され、固定化しやすい傾向にあります。

例:「ポジティブ」で場を盛り上げてきた人は、落ち着いた対応を心がけても「今日は元気がないね」と言われ、また明るく振る舞ってしまうのです。

資質と価値観の深いつながり

💡 上位資質は、単なる行動の傾向ではなく、自分が大切にしている価値観の表れでもあります。そのため「この資質を発揮している自分こそに価値がある」と信じ込みやすいのです。

資質を抑えることが、自分自身の存在を否定するように感じられるのも無理はありません。

資質と距離を取るための問いかけ

こうした思い込みを緩めるためには、あえて資質を抑えた状態を想像してみることが効果的です。

  • この資質を意識的に控えめにしたら、どんな変化が起こるだろうか
  • その結果、周囲は本当に私の価値を認めなくなるのだろうか
  • それとも、別の形で新しい評価や安心感が得られるのだろうか

こう問い直すことで、「資質=存在価値」という強い結びつきを少しずつ緩めることができます。

実際、多くの場合「資質を通じてでしか自分に価値がない」という感覚は、幼少期や成長過程の経験から生まれています。しかし、そのときの思い込みを今も持ち続ける必要はありません。

まとめ

資質は本来、あなたの力を最大限に発揮させるための土台です。しかし「残念な使い方」にとらわれてしまうと、資質に支配され、自分を縛ってしまいます。

自分の存在価値の源泉を見直し、「資質と健全な距離をとる」ことができれば、もっと自由に資質を活かせるようになります。

それは、自分自身の可能性を広げるための大切なステップなのです。