チームで効果的に協力し合うためには、互いの強みを活かし合うことが大切です。
これを別の言い方をすれば、「強みを貸し借りする」という考え方になります。しかし、相手の強みを借りる、つまり誰かに何かを頼むことに抵抗を感じる方も多いのではないでしょうか。
私自身、頼みごとに苦手意識を持つ方に向けて、こんな話をすることがあります。
頼むことへの抵抗感のメカニズム
たとえば、次のような場面を想像してみてください。あるチームで、新しいプロジェクトの資料作成が必要だとします。
デザインやレイアウトが得意ではないAさんは、チームメンバーのBさんに「この資料をもっと見やすく整えてほしい」と頼むべきだと感じています。
しかし、Aさんは心の中でこう思うかもしれません。
「こんな面倒なことをお願いして、迷惑に思われたらどうしよう。」
「自分でもっと頑張るべきでは?」
このように、自分が苦手だと感じる作業を頼むことに抵抗を感じてしまうのは、「それが大変なことだから、相手にも大変な負担をかけてしまう」と思い込んでいるからです。
この思い込みが、頼みごとに対する抵抗感の原因です。
立場を変えて考えてみる
ここで視点を変えてみましょう。もしBさんがデザイン作業を得意としている場合、Aさんの依頼を受けたときにどのように感じるでしょうか?
「自分の得意なことを役立てられるのは嬉しい!」
「頼ってもらえるのは信頼されている証拠だ。」
「楽しみながら作業できそう。」
こうしたポジティブな感情が生まれることも多いはずです。
むしろBさんにとっては、「自分の強みを発揮するチャンス」となり、頼まれること自体が喜びにつながる場合もあります。
頼ることで生まれる良い循環
たとえば、AさんがBさんに資料のデザインを依頼した結果、Bさんは楽しみながら作業を進め、資料を魅力的に仕上げてくれました。
そのとき、Aさんは「頼んでよかった」と心から感謝し、Bさんにその気持ちを伝えました。このやり取りを通じて、AさんとBさんの間には自然と信頼が生まれました。
さらに、BさんがAさんの依頼を受けて喜びを感じたことで、次にBさんが自分の苦手なことをAさんに頼むハードルも下がります。
「Aさんが自分を頼ってくれたから、今度は自分がAさんに助けてもらおう」と自然に考えるようになるのです。
こうして「強みを貸し借りする」という循環が生まれ、お互いを支え合える関係が築かれていきます。
頼ることの大切さ
こうした循環は、チーム全体の関係性にも良い影響を与えます。お互いの強みを活かし合うことで、「自分たちのチームだからこそできる」という一体感が育まれ、目標に向かうエネルギーが高まります。
頼むことへの抵抗感は、相手の立場に立って考えることでぐっと軽くなります。そして「頼らない」という行動が、実は相手が喜びを感じるチャンスを奪ってしまうことにもつながりかねないと考えると、頼むことの価値が見えてきます。
自分の苦手なことを、それを得意とする人に頼ることは、相手を信頼し、強みを尊重する行動でもあります。それが結果として、チーム全体の成長を促す大切な一歩になるのです。
上記は、クリフトンストレングス®(ストレングスファインダー®)をチーム、組織で活かす上でも大切な考え方であり、私が企業研修やワークショップで繰り返しお伝えしていることです。