ストレングスコーチの知識茂雄です。
「ストレングスファインダーを受けたけど、結果を見てもどう活かしていいか分からないんです。むしろ、『あなたはこういう人間なんだ』と決めつけられた気がして……」
もしあなたがそう感じたことがあるなら、それはあなただけではありません。多くの人が、この素晴らしいツールを単なる「性格診断」として捉え、結果を見て思考停止してしまうのです。
たとえば、営業職のAさんのケース。彼女はストレングスファインダーで「戦略性」「個別化」「親密性」などが上位にありました。Aさんは結果を見て、「私は目標達成に向けて複数のアプローチを考えるのが得意で、一人ひとりの個性を大切にして、深い信頼関係を築くタイプなんだ」と理解しました。しかし、それだけでは日々の仕事にどう活かせばいいか分からず、結果をしまい込んでいました。
これは、せっかくの強みを活かせていない非常にもったいない状態です。ストレングスファインダーの真価は、結果を受け取った「その後」にこそあります。診断結果は、あなたが成長するための「出発点」に過ぎないのです。
では、どうすればその「出発点」から一歩踏み出し、強みを活かせるようになるのでしょうか?ここでは、そのための3つのステップをご紹介します。
ステップ1:診断結果を「才能のパターン」として捉え直す
まず、自分の資質を「性格」ではなく、「日々の行動や思考に現れる才能のパターン」として捉え直してみましょう。ストレングスファインダーにおける「才能」は『無意識に繰り返し現れる思考、感情、行動のパターン』として定義されます。診断結果は、「あなたはこういう人です」という結論ではなく、あなたの才能が「無意識にどのように働いているか」を言語化したものだと考えるのです。
先ほどのAさんの例で見てみましょう。
彼女の強みである「戦略性」は、達成すべき成果に向けていくつものアプローチ方法を考える資質として、「お客様との会話の中で、複数の解決策や提案の道筋を瞬時に思いつき、その状況に最適なアプローチを選択する」という形で現れているかもしれません。
「個別化」は、一人ひとりの個性や違いに目を向け、それを見抜くことに長けている資質として、「お客様一人ひとりの特徴やニーズを敏感に察知し、その人に合わせたコミュニケーションスタイルや提案内容を無意識に調整している」という才能として発揮されている可能性があります。
「親密性」は、一人ひとりと深い相互信頼に基づく、長く続く親密な関係性を築く資質として、「既存のお客様との深い信頼関係を何よりも大切にし、長期的な関係性の中で相互理解を深めていく」というパターンで現れているかもしれません。
このように、診断結果に書かれた言葉を、あなたの具体的な行動パターンに置き換えて考えてみることが重要です。
ステップ2:あなたの強みが「輝く瞬間」を探す
次に、過去の成功体験を振り返ってみましょう。仕事で大きな成果を出した時、誰かに感謝された時、あるいは何かに夢中になっていた時。その時、あなたはどんな強みを発揮していましたか?
例えば、Bさんがチームリーダーとしてプロジェクトを成功させた時、彼の強みである「学習欲」が、「プロジェクトの新しいツールや手法を誰よりも早く習得し、チームメンバーに効果的に共有してスキルアップを促進した」という形で発揮されていたかもしれません。
また、Cさんが社内イベントを成功させた時、彼女の強みである「アレンジ」が、「参加者の反応やその場の状況を読み取りながら、臨機応変にプログラムの順序や進行方法を調整し、全員が楽しめる雰囲気を作り上げた」という形で活かされていたかもしれません。
この「輝く瞬間」を特定することで、あなたの強みがどんな場面で最大の効果を発揮するのかが明確になります。
ステップ3:強みを「意識的に使う」練習をする
自分の強みが、どんな行動パターンとして現れ、どんな時に輝くのかが分かったら、次はそれを意図的に使う練習を始めましょう。
例えば、朝のTo Doリストを眺める時、ただタスクを並べるのではなく、「どのタスクに『戦略性』を活かせるだろうか?複数のアプローチから最適な進め方を選択できる場面はどこだろう?」と考えてみたり、会議中に発言する時、「『個別化』を使って、それぞれのメンバーの個性や関心に響くような提案をしてみよう」と意識してみるのです。
「親密性」を持つ人なら、「新しいプロジェクトメンバーとの関係性をどう深めていこうか?一対一で話す時間を作って、お互いの価値観や働き方について理解し合おう」と具体的な行動に移してみることができます。
最初はうまくいかないかもしれません。しかし、意識的に使うことを繰り返すうちに、それはあなたの確固たるスキルへと変わっていきます。
まとめ:診断ツールから成長のパートナーへ
ストレングスファインダーは、単なる診断ツールではありません。クリフトンストレングスの34の資質は、強みに基づく人材開発の根拠となるものです。これらは、自らの天性の才能を発見し、周囲に対する理解と周囲との協調を高めるための共通言語となります。それは、あなたがまだ気づいていないあなたの可能性を照らし出し、成長へと導いてくれる頼もしいパートナーです。
もし今、あなたの手元に診断結果があるなら、改めてそれを見直してみてください。そして、その結果を「あなたはこういう人です」という結論としてではなく、「あなたの成長はここから始まります」という出発点として捉え直してみませんか?
あなたの才能は、まだまだ発展途上です。今日から、その可能性を最大限に引き出していきましょう。