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正論は伝わらない

正論は伝わらない


先日、保育士の皆さまにアサーティブ・コミュニケーションの研修を提供しました。

アサーティブは、クリフトンストレングス®(ストレングス・ファインダー®)、コーチングと並んで私が大切にお伝えしているコンテンツの一つです。

私の場合、(諸々場合によりますが)基本スクール形式ではやらないし、スライドも使わずにワークショップ形式でやるので、そういう研修に慣れていない皆さまには新鮮な体験だったようです。

そういう、今までにない新たな体験をすることでの刺激もまた学びにつながりますよね。

で、私がアサーティブを伝えていく上で大切にしていることがいくつかあるのですが、その一つが“正論は伝わらない”ということです。

ここまで言い切るとやや語弊があるかもしれませんが、実際そういう場面は多く見られると思います。

例えばこういう場面はどうでしょうか?

自分の招集した会議にいつも2,3分遅れて参加する人がいたとします。

その人に対して正論として注意するならば

「皆が集まっている中であなたが時間通り来ないことで会議が始められず、皆の時間を無駄にしています」

という感じでしょうか?

これはこれで正しいし(正論ですから(笑))、責任感の強い相手であればこの言い方で十分通用するでしょう。

しかしながら、そもそも責任感が強いのであれば毎回時間通りに来るでしょうし(笑)。

私がお伝えしているアサーティブでは、このような正論をかざすことを避けるように促します。

では正論以外に何を伝えるのか?

“自分が”感じていることをそのまま伝えるということです。

例えば、こんな感じ…。

「皆さんにお集まりいただいている中あなた一人が来ないことで会議が始められず、主催者として皆さんに迷惑を掛けてしまっているのではないかと不安になります。そして何より毎回のように遅刻されると、何だか自分のことを蔑ろにされているようにも感じられて寂しいです」

前者(正論)と後者の違いは他者をダシに使っているかどうかの違いです。

多くの場面で、多くの人が他者をダシに使い、正論を述べます。

なぜか?

シンプルにその方が伝えやすいから。

言い替えれば、抵抗感が薄いから。

でも、正論って本音ではないわけで、自分の本当の思いは乗せられません。

ここは、字面だけ追って読んでもお伝えできない部分ですが、実際のロールプレイの場面で正論で語るのと自分の本音を語るのとでは言葉の力強さが明らかに違ってきます

なぜならば、多くの人にとって自分の本音を語ることには恥ずかしさに似た感情があり抵抗があるから。

だからこそ本音を語るには覚悟が必要だし、実際に言葉にできたときにはその覚悟が力強さとして表現されるのです。

もう一つ本音を語ることを難しくしているのは、自分自身が自分の本音に気づいていないことがあるということ。

ここは上で述べた恥ずかしさに通じるところがあるかもしれません。

無意識のうちに自分の気持ちに蓋をしてしまい、正論で覆い隠してしまうのです。

だからここにはコーチング的な関りが求められます。

何かを伝えようとしているその人が真に感じていることは何なのか?

それをコーチとして関り、引き出していきます。

そして、自分の本当の気持ちに自分で気づけて初めてその思いを伝えるかどうかを自己責任で選ぶことができるようになるのです。

と、言葉にしてみてもなかかな伝わらないことかもしれませんね。

私自身、リアルの場でもっとたくさんの方に伝えていく機会を作りたいと思います。
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