「達成欲」は、よく働く
「達成欲」の原語は Achiever であり、“成し遂げる人”的な意味合いです。 「達成欲」上位の人の動機づけは、シンプルに、取り掛かり、終わらせることにあります。 そのため、予定を詰め込んでは次から次へとタスクをこなし完了させていきます。 「達成欲」が求めるのは生産性の高さであり、いかに短時間で多くの成果を出すかです。 そうするためには当然ながら“稼働”し続ける必要があり、「達成欲」上位の人は基本的に体力、持久力のある人が多いです。 体力があるのが先なのか「達成欲」があるから体力がつくのかはナゾですが、いずれにしても「達成欲」は別名“体力資質”と言われるくらい精力的に動き、働く資質です。 「達成欲」上位の人の特徴は、割と夜遅くまで仕事をしている人が多いということです。 以前とある企業の研修に伺った際にその研修担当者とやり取りをしていて感じたのが「この人『達成欲』かなぁ」でした。 なぜならばメールの返信が来るのが大概夜の10時、11時だったから。 実際、その方の診断結果を見ると、やっぱり…。 そして、そんな時間にやってくるメールに返信する私は「適応性」と共に「達成欲」も10位とそこそこ(笑)。 端的に、“よく働く”のが「達成欲」という資質です。「達成欲」は、コツコツと積み上げる
「達成欲」上位の人は、立ち止まることがありません。 立ち止まり、何もしていない状態だと何も“生み出していない”感覚に陥るからです。 だからこそ、予定を詰め込みます。 隙間時間でも何かしら作業をしたくなる感じだと思います。 会議の場にもパソコンを持ち込んでちょっとした待ち時間にでもメールをチェックしたり資料を作ったりという感じです。 そういうちょっとした隙間時間にでもやれることはあると思っているところから「達成欲」上位の人は、大きな塊としての仕事の案件を小さなタスクに分割するのも得意なのかもしれません。 大きな塊のままではヘビーに感じることでも、小さなタスクに分割しそれらをコツコツと片づけていけばどれだけ作業量が多くともいつかはやり遂げることが出来る。 「達成欲」単体だとあまり“効率性”を考える感じではないと思うので、ある意味不器用に前に進んでいく感じなのかもしれないけれど、量質転化という言葉もある通り圧倒的な量はいつしか質の高さにもつながっていくと思います。 とにかく、立ち止まることなく前進し続けるその姿勢に周囲の人も知らずと背中を押されていることもあるのではないかと思います。 無意識レベルでチーム全体の生産性を引き上げるのも「達成欲」の強みなのかもしれません。「達成欲」は、プッシュする
「達成欲」上位の人が陥り易いことの一つは、自分自身がよく働くだけに極論すれば他の人が“怠け者”に見えてしまうかもしれないことです。 人は無意識レベルで自分が大切にしていることを他の人にも求めてしまいます。 その意味で隙間無く予定を詰め込んで働く「達成欲」上位の人からすると、そうではない人を見て「もっと一生懸命に働こうよ!」と思ってしまうのも無理はないと思います。 あるいは、そんな意識はなくとも自分がリードしていく場面では“休む”という時間が極端に少なくなったりするかもしれません。 例えば最近は、オンラインでのワークショップも増えていますが、講師が「達成欲」上位だとやたら休憩が少なかったりします。 特にオンラインだと相手の様子がわかりづらいし、参加者側も簡単には休憩を入れて欲しいとのサインを出しづらい環境にあるのでより注意が必要だと思います。 私もたくさんのオンライン勉強会の類いに参加していますが、思った以上に疲れるものですし。 いずれにしても「達成欲」上位の人は、自分が無意識に他の人を“プッシュ”してしまっているかもしれないことを自覚して周囲の人の様子に意識を向けることが大事だと思います。 後は、関係性にもよりますよね。 普段から率直に言い合える関係性を築いていれば、自分が気づかずにプッシュし過ぎたときに「少し休もうか?」と肩を叩いてもらえると思います。 特に私のように「調和性」「適応性」だとついつい相手に合わせてしまうので、ひょっとしたら周囲についつい無理をしてしまう人がいるかもしれないことを念頭に置いておくことも大事だと思います。 ま、私の場合は自分自身も「達成欲」が比較的高いので追随性は高い方なのですが。 そして、ついついプッシュしてしまう相手が自分自身でもあるということにも注意が必要です。 「達成欲」上位の人は、基本的にはそもそもの体力があることが多いですがそれでもそこには限界があります。 なので、自分の知らない間についつい自分に無理をさせてしまうこともあるかもしれません。 ここへの対処法としてよく言われることは、休むこと自体をタスク化してしまうことです。 そして休むことにもきちんと意味付けし意義を見出すことだと思います。 なので休むという行為を何も生み出さない時間と捉えるのではなく、自分の身体をきちんとメンテナンスする時間だと捉えることが大事だと思います。 定期的にきちんとメンテナンスしていけば継続的に整った状態で成果を出し続けることが出来ると思います。全体を俯瞰して考える
他に「達成欲」で妨げとなりやすい手は、一つには手段が目的化しやすいという点です。 「達成欲」の場合は、完了させることが目的化しがちです。 すなわち目の前にある仕事を片づけることに集中してしまい、全体を俯瞰してみる視点に欠けがちになってしまうかもしれません。 そうなってしまった時の何らかの妨げとなることには二つの方向性があると思います。 一つには、仕事全体としての効率性が犠牲となってしまう場合です。 仕事全体を俯瞰してみた場合、そのすべてをやる必要があるのかという問題もあります。 また、何をどういう順番でやるとより効率的かということもあるし、今やることと後で良いことの優先順位もあります。 とにかく片っ端から始めて終わらせるということだと、どうしても上述した視点が抜けがちだと思います。 なので、意識的にそういうところに目を向けるか効率性を重視する資質を持つ人と相談しながらやるとか、場合によっては工夫した方が良いかもしれません。 具体的には「アレンジ」「戦略性」「規律性」などの資質を持つ人です。 もちろん本人がそういう資質を併せ持っていれば効率性は当たり前に考えると思います。 そしてもう一つの側面は、成果を出すことに重きを置くあまりに人の気持ちを置いていってしまいがちだというところです。 ここは人間関係構築力全般が低めの人が気を付けた方が良いところです。 前回書いたような無意識に周囲の人を自分のペースでプッシュしてしまうところにもつながるところです。 ここも、ついついそうなりがちだということを自覚した上で人に頼るのが最も効果的だと思います。 自分がついつい成果を出すことに集中し過ぎてしまっているときにそれを肩を叩いて教えてくれる人を身近に置いておけると理想的ですね。 「達成欲」上位の人は、放っておいてもたくさんの成果を出せる人なので、ちょっとだけセーブするくらいでちょうど良いのだと思います。「達成欲」は、歩みを止めない
「達成欲」の才能は、目の前のことに一所懸命に取り組むことにあります。 ひとたび取り掛かったことは途中で投げ出すことなく最後までやり遂げる。 どんなに多くのことを抱えていても、いや抱えているからこそ生き生きと多くのことを達成する。 そのバイタリティ溢れる姿勢で周囲の人に前に進むエネルギーを与えていると思います。 高いエネルギーで物事を前に進ませていくその才能を効果的に活かすには、特にチームや組織の中で働いているならば、プロジェクト全体の推進力となるよう自分の役割を定義することだと思います。 意識的に全体に目配り、気配りをしながら、あるいは他者の才能を借りながら歩調を合わせ全体のペースメーカーとして生産性を引き上げる。 そんな役割を全うできると良いですね。 もちろん自然とそうなっている面があると思いますし。 そして、目の前にやるべきことがある限り歩を止めない「達成欲」上位の人は、やり続けている限り物事は達成されるというシンプルな真理を教えてくれます。 奇しくもこれを書いた日は、東日本大震災から10年目の日。 つい先日には熊本地震からの復興のシンボルでもある新阿蘇大橋が開通しました。 熊本城も何十年と掛かるであろう復興の途上にありながら着実に一歩ずつその雄姿を取り戻しつつあります。 一歩ずつ、一歩ずつ歩を進め続けることの大切さの象徴だと思います。
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