ストレングスコーチの知識茂雄です。
影響力の資質である「コミュニケーション」について解説していきます。
根源的な欲求、動機づけ
「コミュニケーション」を上位に持つ人の根源にあるのは、言葉で相手に納得してほしい、わかってほしいという欲求です。
原語はCommunication。ただ、コミュニケーション能力とかコミュ力と言うときのコミュニケーションとは違います。それらは非言語の部分や理解力も含めた、人と関わる総合的な力を指すことが多いと思います。
一方、ストレングスファインダーの「コミュニケーション」は、言語に特化した影響力の資質です。要は、言葉で人を納得させる影響力なのです。簡単に言えば、言葉で表現する才能です。
影響力の資質全般に言えるのは、自分が人に影響を与えた証として何らかの反応が返ってくることです。「コミュニケーション」の場合、それは自分が語り、伝えたことに対する相手の納得感です。「納得してほしい」「わかってほしい」という欲求に基づいて話すからこそ、言葉を巧みに操り、適切な表現でわかりやすく伝えられるのです。この「言葉でわかってもらいたい」という欲求こそが、「コミュニケーション」という資質の核心です。
振る舞いの特徴
言葉でわかってもらいたい欲求は、まず「話し好き」という形で表れます。
「コミュニケーション」を上位に持つ人は、ひとたび話し始めると、立て板に水のごとくよどみなくスラスラと話し続けることができます。何かを言語化して表現する力が非常に高いのです。その表現力は「相手を納得させる」という影響力として発揮されるので、無意識のうちに、どう伝えればわかってもらえるかを考えています。
そこから、たとえ話や比喩表現、物語風に語ることが得意になります。自分が経験してきたことを、あたかもその場にいるかのように臨場感たっぷりに話せるのです。聞いている人は、その物語を頭の中で再生し、自分が同じ体験をしているかのように感じます。
もう一つの特徴は、話しながら考えることです。極論すると、思考より先に発話があります。自分でしゃべったことを自分の耳に入れて「あ、自分はこんなふうに考えているんだ」と気づきながら、思考を整理していくのです。
だから、黙って考えるのは苦手です。一人で考える必要があるときは、独り言をぶつぶつつぶやいている人が多いのではないでしょうか。しゃべっているうちに、話がどんどんまとまっていく感覚があると思います。
そして、適切な言葉で表現することにこだわるので、他の人が使う言葉にも敏感です。人が無意識に繰り返し使う言葉にも気づきます。
強みとして活かせている状態
この欲求が強みとして機能しているとき、「コミュニケーション」を上位に持つ人は、言葉で人の心を揺り動かし、人を導く人になります。
何かテーマを振られてすぐに話し始められるのは、この資質ならではの強みです。とりあえずしゃべり出し、相手の反応を見ながら、よりわかりやすく、より伝わるように話をまとめていく。そうやって、複雑なことでも相手が納得する形に仕立てて届けられます。
その言葉には豊かな彩りがあります。自分の素敵な体験からの喜びを語れば、周りの人にもその喜びをおすそ分けできます。人の良いところをその言葉で伝えれば、他の誰の言葉よりもその人の胸に響き、前向きな気持ちにさせます。
人は、繰り返し耳に入る言葉に大きな影響を受けるものです。「コミュニケーション」を上位に持つリーダーが、ワクワクするような未来を言葉にして語り続けると、いつしかメンバーはその未来を当たり前に実現するものとしてとらえ、前に進み始めます。
言葉への感度の高さも強みになります。「あなたはよく◯◯という言葉を使うよね」と伝えると、言われた方は「はっ」と何かに気づくことがあります。人は無意識に言葉を使っていますが、そこに感情の機微が隠れていることがあるからです。なぜその言葉を繰り返すのかを尋ねる問いが、その人の無意識を表に出します。言葉の力で人を感動させ、夢を見させ、前に進ませる。そんな存在なのです。
妨げになってしまっている状態
同じ欲求が裏目に出ると、まず調子のいいことを言ってしまいます。
「コミュニケーション」を上位に持つ人は、じっくり思考した上で発話することが少ないです。そして影響力の資質ですから、自分の話が相手に影響を与えることが大事です。すると、瞬間瞬間で相手が喜びそうなことを言ってしまいがちになります。
一緒に上位に来やすい「社交性」もあると、相手に好感を持たれたいという感覚も加わって、余計にそうなります。相手にとって耳ざわりのいいことをつい言ってしまい、深い思考を伴わない発言だけに、自分の言ったことを覚えていないということも起こります。
何気なく言った言葉で相手にとても良い影響を与え、あとで感謝されることもあるので、それ自体が悪いわけではありません。ただ、場合によっては自分の言葉を「軽い」と感じさせてしまうことがあるのです。
もう一つは、言葉が凶器になることです。ドンピシャで相手に届く表現をしたいし、できる人なので、そこにどんな感情が乗っているかで、言葉は時に相手を傷つけます。特に「最上志向」を併せ持っていると、最適な言葉を選ぶこだわりが増すので、怒りの感情が乗ったときに相手の急所を突くようなことを無意識に言ってしまうかもしれません。その威力に、才能を持っている本人が気づいていないことも多いものです。
また、発話量が多いだけに、会話の中で自分が話す量が多くなりがちです。話し上手であることは強みですが、相手にも自分の話を聴いてほしいときがあります。
役立つ面と妨げになる面は表裏一体です。妨げになる面を消そうとするのは得策ではありません。その裏にある役立つ面まで一緒に消してしまうからです。大事なのは、自分の発する言葉には自分が思う以上の影響力があると自覚することです。自覚があれば、場面ごとにどういう言動を取るかを自分で選べるようになります。
効果的に活かす方法
「コミュニケーション」を効果的に活かす鍵は、誰に対して何を語るのかを明確にすることです。
まず、その言語化の力を、相手が喜ぶことに向けることです。具体的には、相手の良いところを言葉にして伝えること。相手を知るところから始め、その良さを、心に響く前向きな表現で伝える。その人の良いところが、具体的な場面でどんなふうに出ているのかを物語として語ってあげると、さらに効きます。
次に、言語化が苦手な人に代わって、その人の感じていること、言いたいことを言葉にしてあげることです。会議の議論を「要はこういうことですね」とまとめる。相手が感じているであろうことを的確に代弁する。それぞれの才能を活かし合い、補い合うという意味でも、意味のあることだと思います。
放っておいても話し上手だからこそ、同時に聴き上手を目指してもいいと思います。話を聴いてもらえる喜びを知っているからこそ、聴き上手にもなれるのです。
そして、話しながら考えるという特徴を、そのまま思考の整理に使うことです。頭の中で情報が散らかって整理できていないときは、人に話を聴いてもらう。話せば話すほど頭が整理されます。特に思考を整理するのが苦手な人には、これがもっとも効く方法です。
感情を吐き出したいとき、考えをまとめたいときなど、場面に合わせて話を聴いてくれる人を複数確保できていると理想的です。「社交性」や「自我」も併せ持っているなら、多くの人の前で話す機会を得ると、生き生きと語れると思います。
対比される資質
「内省」と「コミュニケーション」は、考えることと話すことの順番が対照的です。「内省」を上位に持つ人は、発話の前に必ず思考があります。自問自答しながら思考を深め、できればあらかじめ考えていたことを話したい人です。「内省」の場合は自分を納得させるために思考があり、「コミュニケーション」の場合は相手を納得させるために発話があるのです。だから「コミュニケーション」を上位に持つ人は、話しながら考えます。
この違いは、相互理解がないとすれ違いを生みます。「内省」から見れば「コミュニケーション」は考えずに話しているように見え、「コミュニケーション」から見れば「内省」は黙っていて何を考えているかわからないように見える。しかし、じっくり考えて話す人と、すぐに話し始めて場を動かす人は、どちらも組織に欠かせません。なお、両方を上位に持つ人もいます。そういう人は、熟考しながら言葉をつむぐ感じになり、書き言葉の方が得意かもしれません。
他の資質との組み合わせ
「コミュニケーション」と「ポジティブ」が組み合わさると、褒め上手になります。「ポジティブ」には、物事の明るい面を見て人を元気づけたいという欲求があります。相手の良いところを見つけ、それを言葉にして伝えられるので、周りの人の気持ちを明るくします。
「コミュニケーション」と「未来志向」が組み合わさると、未来のビジョンをあたかも既に実現したかのように語る人になります。「未来志向」には、こうなったらいいという未来を思い描きたいという欲求があります。その未来をありありと言葉にできるので、周りの人をワクワクさせ、夢を見させられるのです。
「コミュニケーション」と「共感性」が組み合わさると、相手の目に見えない感情を適切な言葉にできる人になります。「共感性」には、相手の気持ちを自分のことのように感じ取る働きがあります。感じ取ったものを言葉にして返せるので、相手に「わかってもらえた」という安心感を与えられるのです。
「コミュニケーション」と「最上志向」が組み合わさると、ドンピシャで相手に届く表現ができる人になります。「最上志向」には、より優れたものを目指したいという欲求があります。それが言葉に向かうので、表現したいことがぴたりと伝わる言葉の選択にこだわり、聞き手の心に残る言葉を選べるのです。
このように、「コミュニケーション」は組み合わさる資質によって表れ方を変えていきます。ただ、根っこは一つです。言葉で、相手にわかってもらいたい。その欲求が、本人が想像する以上に大きな影響力を持つ言葉を生んでいるのです。自分の言葉の力を信じて、世の中を良い方向へ導いていってください。
上記はギャラップに承認されたものではなく、ギャラップの認可も推薦も受けていません。クリフトンストレングス®(ストレングスファインダー®)に関する意見、見解、解釈は、株式会社ハート・ラボ・ジャパン代表 知識茂雄だけの考えです。
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