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クリフトンストレングス®(ストレングスファインダー®)34資質完全ガイド「最上志向」

振る舞いの特徴

「最上志向」を上位に持つ人は、ある成果が既に一定のレベルに達していてもそれに満足せず、さらに向上させたいと考えます。無意識に、常に「より良く、より良く」と、際限なく改善を目指します。たとえば、パワーポイント資料を作成する際、文字のフォントサイズを1ポイント単位で微調整し、テキストの位置を1ミリ単位で調整することすらあります。そのこだわりは際限なく、締め切りギリギリまで改善を続けることがよくあります。

「最上志向」の人は無駄を嫌うため、得意なことや好きなことに特化する傾向があります。弱点よりも強みに焦点を当てることを選びます。これは、苦手なことや嫌いなことに取り組むことは無駄だと考えるからです。また、自分自身だけでなく、他者の強みを見つけ、それをさらに引き出すことにも熱心です。

さらに、「最上志向」上位の人は卓越性や優秀さに惹かれ、自分自身も卓越していたいと願い、そのために努力を惜しみません。この向上心の高さが「最上志向」の特徴として表れるのです。彼らは現状に満足することなく、常に次のレベルを目指し、終わりのない成長を求めます。そして、自己改善の姿勢を周囲にも伝播させ、全体のパフォーマンスを引き上げることを目指します。

根源的な欲求、動機づけ

「最上志向」の根源的な欲求は、物事や人が最上であり、卓越していることを求め続けることにあります。これは、現状に決して満足しないという思考に根ざしています。どんな状況でも無意識に「もっと良くできるはず」と考えるのが「最上志向」の特徴です。この根底にある思考が、彼らの思考、感情、行動のパターンを形成しています。

強みとして活かせている状態

「最上志向」を上位に持つ人は、仕事の成果において常に最高のアウトプットを持続的に提供しています。これは、ただ成果を出すだけでなく、たとえばすでに市場で成功を収めている新製品の改善提案を行い、その製品の性能をさらに高めることができる能力を意味します。常に改善の余地を見つけ、ブラッシュアップし続けます。

また、自己の能力だけでなく、同僚や部下の潜在能力も見極めることができます。たとえば、「最上志向」を上位に持つリーダーが、部下が特定の技術スキルに長けていることを認識し、そのスキルを活かす新しいプロジェクトのリーダーに任命することで、部下のキャリアの発展を促進します。彼らは特に自分の強みや得意を活かせる領域に集中し、他の分野にはあまり時間やエネルギーを割かないことが多いです。

さらに、「最上志向」の上位の人は、チームの目標設定や品質基準の向上に積極的に貢献し、高い成果を目指す文化を育てることができます。たとえば、営業チームに月次売上目標を設定し、それを超えるための戦略を考えさせ実行させることで、全員がより良い成績を達成するようにモチベートします。彼らは高い目標を設定し、他者を鼓舞してその目標を達成するために導く力を持っています。

彼らの持つビジョンとこだわりは、集団全体のモチベーションを高め、組織全体の成功に対する期待を新たなレベルへと押し上げます。たとえば、会社全体の品質向上プログラムを推進し、各部門が持続可能な改善を実施するよう導くことで、業界内での競争力を高めることができます。

このように、「最上志向」を効果的に強みとして活かすことで、個人はもちろん、周囲の人々や組織全体が恩恵を受けることになります。

妨げになってしまっている状態

「最上志向」を上位に持つ人は、プロジェクトの各詳細に完璧を求めるあまり、全体の進行に影響を与えることがあります。たとえば、ソフトウェア開発プロジェクトにおいて、一つの機能の実装がすでに十分に機能しているにもかかわらず、さらなる改善を求めて何度も修正を重ねることがあります。このため、全体のリリーススケジュールが遅れることがあり得ます。これに対処するためには、明確なデッドラインを設定し、進捗状況を定期的に確認して、必要に応じて調整を行うことが重要です。

そして、このような行動は、チームメンバー間での緊張を高めることもあります。たとえば、製品のデザイン段階で、あるデザイナーが提出したコンセプトに対して、「最上志向」のリーダーが何度も細かな修正を求める場合です。この結果、デザインプロセスが停滞し、チームの士気や生産性が低下する可能性があります。これに対処するためには、まずは修正の必要性とその理由を明確に伝えること、そしてメンバーの努力に対して敬意を払うことが大事です。

さらに、「最上志向」の人は他者の成果に対しても同様の厳しい基準を適用するため、同僚や部下が提出した報告書やプレゼンテーションに対して、内容よりも形式にこだわり過ぎてしまうことがあります。端的にいうと他者のアウトプットに対しても満足することがないため、なかなか褒めないということにもつながります。これに対処するためには、成果の内容にも注目し、努力や進展を評価する姿勢を持つことが重要です。定期的にフィードバックを行い、ポジティブな点を強調することで、メンバーのモチベーションを高めることができます。

このように、「最上志向」上位の人は細部に執着することで、本来の目的や期待される成果に対して焦点がぼやけ、全体の進捗や効率に悪影響を及ぼすことがあります。特に、締め切りが迫っている場合やリソースが限られている場合、細部にこだわりすぎることがプロジェクト全体の進行を妨げることがあります。これに対処するためには、完璧を求めることの利点と欠点を理解し、柔軟に対応する姿勢を持つことも必要です。

効果的に活かす方法

まずは一般論として、各資質を活かすには、何かしらの妨げになる部分に対処しつつ、強みとして活かせる場面で存分に発揮することが重要です。すなわち、メリハリをつけて適切に使い分けることです。ここでは「使い分け」という言葉を使いましたが、スイッチのオン/オフでもよいし、出し入れでもよいし、自分に合う表現を選んでください。

そして、自分を効果的にマネジメントするためには、自己を客観視する必要があります。上位資質は無意識に現れる思考、感情、行動のパターンなので、それをある程度意識的に扱えるようになることが大切です。そのためには、普段の自分を観察し、どのような場面で当該資質に基づく行動が現れているかを理解しておくことが必要です。それができて初めて資質の使い分けが可能になります。

「最上志向」の場合、何事にもこだわり過ぎることが役立つ面でもあり、妨げになる面でもあります。なので、「最上志向」をどの状況で活かすかを考え、適切にマネジメントすることが重要です。たとえば、時間的な制約のある中で何らかの資料作成を任された場合、その質にこだわるあまり納期に遅れたり、大局的な全体最適の観点からどうでも良い部分にこだわり過ぎないように、「最上志向」を抑えることも必要です。一方で、品質面で妥協が許されないものの品質管理に徹底的にこだわることは、「最上志向」の本領が発揮される場面なので、存分に発揮すればよいと思います。

上述した「メリハリをつける」というのは、どんな資質に対しても共通のアプローチです。ただし、その際大切なのは、これを完璧にやろうとしないことです。というのも、そもそも完璧にはできないのです。資質は基本的に無意識に表れるものなので。できる範囲でマネジメントするくらいの感覚で柔軟に取り組むのが良いと思います。これも人それぞれの上位資質の組み合わせによりますが、「うまくマネジメントしなければ」となってしまうと、それがかなわずに辛いと感じることもあるかもしれませんので。

さて、活かし方の別の切り口として、資質はある意味その人にとっての欲求や価値観が思考、感情、行動のパターンとして表出したものとも言えます。そして当然ながら、人はそれぞれに持つ欲求や価値観に沿った生き方ができたときより生き生きとします。

「最上志向」的に言えば、一つには自分が好きで得意なことに特化していくということです。私自身は無意識のうちにまさにそれをやってきました。そう、クリフトンストレングス®(ストレングスファインダー®)を仕事にしたことです。この分野では誰にも負けないくらいにプロファイリングの技術を磨き上げるというのも「最上志向」が存分に活かせている部分です。

そしてもう一つは、関わる人を選ぶということ。「最上志向」は、良くも悪くも人に対する好き嫌いが出やすい資質です。もちろんここにも役立つ面、妨げになる面の両面がありますが、少なくともプライベートにおいてお付き合いする人たちは、自分にとって価値のあると感じられる人たちを選ぶのも大事なことです。「最上志向」上位の人にとって心惹かれる人は、多くの場合何かに秀でて優秀な人だったり、自分にはない何かをもたらしてくれる人だったりします。

関わる人を選ぶというのは、すなわち自分に相応しいコミュニティを選ぶことでもあります。自分が好きな人たちに囲まれ、好きなことに特化する。これが理想ですね。もちろん、そうそう簡単なことではありませんが、そういう方向を目指すのが「最上志向」を喜ばせることにつながると思います。

対比される資質

クリフトンストレングス®(ストレングスファインダー®)の34個の資質の中には、お互いに順位が近づきやすかったり、その逆に離れやすかったりするものの組み合わせがあります。例えば、「最上志向」で言うと、「回復志向」がそれにあたります。この二つの資質の順位は統計的に見て離れやすいのが特徴です。あくまで傾向としてそう言えるだけであり、必ず例外があります(両方上位に持つ人も必ずいます)。

実はこの二つの資質は似通ったところもあります。それは、物事をより良い方向へと改善したいという欲求があることです。

「回復志向」の詳しい解説は次の回に譲るとして、両者の何が違うかというと、「回復志向」が本来あるべき状態に戻す方向への改善欲求であるのに対し、「最上志向」は既に一定の状態にあるものをさらに良くしたいとの改善欲求であることです。従い、「回復志向」の場合は問題解決に意識が向きやすいのに対し、「最上志向」はその方向にはあまり意識が向くことはありません。

「最上志向」「回復志向」共に、それが自分に向いたときに顕著な違いが出ます。それは、「最上志向」が自分の強みや得意なことに目を向け、それをさらに伸ばそうとするのに対し、「回復志向」はその逆で、自分のできていないところに目を向け、何とかできるようにしようとするところです。

つまり着眼するポイントが両者では異なるのです。それゆえ、相互理解のない前提だとそれぞれを上位に持つ人同士でのすれ違いも起こりがちです。問題点に目がいかない傾向のある「最上志向」上位者に対して「回復志向」上位者が不満に思うとか、強みに目を向けて欲しい「最上志向」上位者に対して「回復志向」上位者が弱みや欠点を指摘しがちだったりするとかです。

こういうところもお互いの価値観や欲求がどういうところにあるのかを理解し合うと、むしろお互いにないものを補い合える関係になれるということです。人それぞれの思考、感情、行動のパターンを明確に言語化された資質の並び順で表してくれるクリフトンストレングス®は、そういう意味での相互理解に最適なツールだと思います。

他、「最上志向」と「回復志向」の違いは、前者が影響力の資質であるのに対し、後者は実行力の資質である点です。すなわち、「回復志向」の場合は、たとえば問題解決に向けて実際に行動を起こし、それを成し遂げます。一方、「最上志向」の場合はそれ単体で動くというよりは他の資質との組み合わせによりその特徴が表れやすいと思っています。

他の資質との組み合わせ

上述したように、「最上志向」は他の資質との組み合わせにおいて、その資質の特徴を尖らせるあるいは磨き上げる特性があると思っています。ある種のこだわりとか極める、最善を尽くすとかの感覚がそうさせるのです。

例えば、チームで物事を進める際、メンバー間の合意を得ることを大切にしている「調和性」との組み合わせだと、ほどほどの合意ではなく“ちゃんと”合意させたいという欲求が出てきます。ほどほどのところで「ま、いっか…」とはなりづらいのです。

伝えたいことをしっかりと伝わるように伝えたいとの欲求のある「コミュニケーション」との組み合わせだと、使う(使われている)言葉や表現にもこだわりが出てきます。ドンピシャな表現をすることへのこだわりとも言えます。

他の人とは異なる着眼点を持つことを大切にしている「着想」との組み合わせだと、独創性を大切にする感じがより際立ってきます。予定調和を好まない感じも出てくるかもしれません。

こんな感じで「最上志向」が上位にある人、特にTOP5に入っているような人は他の資質なりのこだわりが強く出てくると思います。従い、役立つ面に対しても妨げになる面に対してもその特徴が際立ってきますので、うまくメリハリをつけてマネジメントしていくことがより大事になってきます。


上記はギャラップに承認されたものではなく、ギャラップの認可も推薦も受けていません。クリフトンストレングス®(ストレングスファインダー®)に関する意見、見解、解釈は、株式会社ハート・ラボ・ジャパン代表 知識茂雄だけの考えです。
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