適応性と規律性──あなたはどちらの世界に心地よさを感じますか?
先日のストレングスファインダー®(クリフトンストレングス®)資質探求講座では、「適応性」と「規律性」という、一見正反対にも思える2つの資質を取り上げ、深く掘り下げました。
そのなかで、参加者の方からこんな問いが出ました。
「適応性が上位にない自分から見ると、不測の事態でも慌てずに動いている人がいます。ああいう人の内面って、実際どんな感じなんですか?」
この質問に、多くの参加者が頷いていたのが印象的でした。
「適応性」上位の人の頭の中で起きていること
「適応性」が上位にある人たちは、状況が変わっても落ち着いて見える。予想外の展開にも動じず、その場に自然と馴染んでいくように対応していきます。
その内面で何が起きているかというと──とてもシンプルです。
「起きてしまったことは、もう仕方がないよね」
この感覚です。
コントロールできない出来事を無理に変えようとせず、「今、ここ」に身を委ね、最善の行動をとろうとする。そこに過剰な抵抗や思考の渦はありません。
この“受容の姿勢”が、他者から見ると「落ち着いている」「柔軟に動いている」と映るのです。
ただし、誤解してほしくないのは、「適応性」資質の人が変化を好むわけではない、ということ。
むしろ、予期せぬ事態が好きなわけではなく、単に「受け入れる力」が高いということなのです。
また、「同じことが続くと飽きてしまう」という特性もあり、変化を歓迎する場面もありますが、それは“刺激”という意味での変化。根底にあるのは「流れに逆らわない」という姿勢です。
「規律性」上位の人が求めているもの
一方、「規律性」が上位にある人にとって、変化はときに不安を招きます。
「この通りにやれば、うまくいく」
「今日もいつもと同じ流れで始めたい」
そんな安心感こそが、彼らが大切にしていること。
ルールや手順、決められた順序を守ることは、単なる習慣ではありません。
秩序だった日々を保つことで、余計な判断や混乱を避け、予測可能な環境に自分を置く。それが安心につながるのです。
だからこそ、突然の変更や急な方針転換には強いストレスを感じやすい。
「昨日と同じようにできる」こと自体に、深い意味と価値を見出しています。
どちらも「当たり前」。だからこそわかり合えない
こうした「適応性」と「規律性」の感覚は、どちらもそれを上位に持つ人にとっては“あまりにも当たり前”なものです。
だからこそ、逆の資質を持つ人の行動や思考が、理解しにくく、時には「なぜあの人はそんなことを?」と疑問に思ってしまうのです。
でも、そこにこそ、対話と理解の入り口があります。
疑問の先にある「相手の大切にしているもの」へのまなざし
「なぜあの人はあんなに変化に強いのだろう?」
「なぜあの人はルーティンにこだわるのだろう?」
そう思ったときは、相手の“行動の奥にある欲求”に目を向けてみてください。
適応性の人は、流れに乗ることでエネルギーを得ているのかもしれません。
規律性の人は、秩序ある中で安心と集中を手にしているのかもしれません。
そして、それは「あなたが欲しているもの」とはまったく違うものかもしれない。
違いの理解は、信頼関係を育てる第一歩
ストレングスファインダー®の面白さは、こうした“自分と他者の違い”を可視化できることにあります。
自分には理解できなかった相手の言動が、「資質」というフィルターを通すことで、「なるほど、そういうことだったのか」と納得できるようになる。
この納得が、相手へのリスペクトや信頼へとつながり、より良い関係性を築く土台になるのです。
もし、あなたの周りにも「理解しがたいな」と思う相手がいたなら、
それは、相手の“当たり前”が、あなたの“当たり前”とは違うというサイン。
その違いを知ることが、チームや人間関係を一段深くするきっかけになるかもしれません。
株式会社ハート・ラボ・ジャパンでは、クリフトンストレングス®(ストレングスファインダー®)を活用した各種研修を提供しております。詳細はこちらよりお問い合わせください。


