“聴く”が信頼関係を生み出す
私がマネジャーだった当時は、ストレングスファインダー®をがっつり活用できていた訳ではありませんが、今振り返ると、良くも悪くも自分の資質がよく表れていたと思うのでその話しを書いてみます。
当時、いろんなことでぶつかりがちな部下がいました。
今振り返ってみると、その部下は自分と似たようなタイプだったように思います。
その当時の私は、「責任感」x「分析思考」で自分の正しさに強いこだわりがありました。
「責任感」から来る自分なりの正しさを、「分析思考」で理論武装しているような感じだったと思います。
もし相手もそんな感じだったとしたら…
正しさというのは人それぞれに違うわけなので、お互いがお互いの正しさを主張し続ける限り交わることなく平行線のままですよね。
彼が実際に同じような資質だったかどうかはわかりませんが、似たようなタイプだからといって相性が良いとは必ずしも言えないのです。
それはさておき、とにかく彼とはよくぶつかり、(今思えば)不毛な議論を繰り返していました。
その当時コーチングを学び始めたばかりであった私は、この状況というのは自分の方が何かを変えていかねばならないのだと思い至りました。
そして、その当時取り組んでいたのがまさに“傾聴”でした。
最初は、本当にただ黙って聴くということすらできませんでした。
だって、部下の言うことはことごとく“違う”から(^_^;)。
自分の正しさと比べて部下の言うことは“違う=正しくない”と思い込んでいるわけなので、聴けるわけがないですね。
それでも、“辛抱して”黙って聴くを“練習”していきました。
すると、それを続けていくうちにあることに気づき始めました。
「なんだ、意外と皆ちゃんと考えてるんじゃん」と。
甚だ傲慢ですよね?(笑)
でも、その当時は本当に傲慢でした。
それでもそうやって“聴く”を頑張ってやっているうちに、少しずつ本当に聴けるようになっていきました。
それは、前回書いた共感的理解ができるようになっていったということです。
自分の正しさ=価値観を脇に置いて、
「なるほど、そう考えるのか。それにも一理あるなぁ」
と思えるようになりました。
そこから、件の彼との関係性も徐々に変わっていきました。
交わることのない平行線の議論を交わすのではなく、お互いの言い分をすり合わせ建設的で、前向きな議論ができるようになっていったのです。
そして、そういう会話が交わせるようになっていくと、それまで目を向けていなかった相手の他の強みにも目が向くようになります。
ある意味相手をよりリスペクトする気持ちが湧いてくるのです。
そうなれば、相手との関係性はより良いものになっていきますよね。
実際、私が異動する際に彼からは、「知識さん、変わりましたよね」と言ってもらえました。
そういう経験を持つ私には、聴くの効果がいかに大きなものであるかの実感があります。
どういう相手であっても、どういう場面であっても、信頼関係の土台には“聴く”があると思っています。