「共感性」は他者目線で気を配る
「共感性」は人間関係構築力の資質で、原語では Empathy となっています。 文字通り“感情”に関わる資質です。 「共感性」上位の人は、言葉を交わさなくとも相手が感じているであろう感情を察知することができます。 他の人と接しているとき無意識に相手の感情にアンテナを立てている感じだろうと思います。 どんな資質であっても言えることは、その特徴的な振る舞いは無意識レベルであるということ。 なので、「共感性」上位の方が他者の感情を感じるというのも“感じてしまう”と言った方が感覚としては近いのではないかと思います。 感情にフォーカスする以上は、当然ながら相手の持つ感情がネガティブなものであるよりポジティブなものである方が安心感が出ますよね。 従い、「共感性」上位の人は他者の感情がネガティブ方向に振れないようにと配慮して振る舞います。 簡単に言えば、常に相手の気持ちを慮りながら振る舞うということです。 そういう気遣いがどういう場面で現れるかと言えば、例えば誰かが何かを探している気配を感じると先回りしてその人が欲しいであろうものを手に取り差し出すといった感じです。 手渡された方としては 「なぜ自分がそれを探していたとわかったのだろう?」 という感じだと思いますが、「共感性」上位の人は何となくそれがわかってしまう感覚なのだと思います。 そうやって常に他者目線で周囲の人に気を配り、一人ひとりが穏やかにいられるよう振る舞えるのが「共感性」の強みです。「共感性」は環境に左右される
「共感性」上位の人は、他者の感情を自分のことのように感じ取ります。 それゆえに、自分の周りにいる人の感情や場の雰囲気によって自分の感情も左右される傾向にあります。 皆が楽しそうにしていれば自分も楽しくなるし、皆が嬉しそうにしていれば自分も嬉しくなるし、皆が悲しそうにしていれば自分も悲しくなる。 そんな感じではないかと思います。 なので総じて他の人と比べると感情の振れ幅が大きくなる傾向にあると思います。 特に「ポジティブ」を上位に併せ持っていると、ネガティブな感情に反応しやすくなります。 一方で感情が落ち込んだとしても比較的早く浮上してしまうし、ポジティブな感情には素早く呼応するので、周囲の人の感情によりセンシティブになると思います。 そして、「共感性」上位の人は、その場にいない人に対してもその人の置かれた状況に自分の身を置いた場面を思い浮かべ、その人が感じているであろう感情を自分の中に無意識に作り出します。 具体的には、ニュースで流れてくる事故や災害の場面を見て、そこにいる被害者、被災者や遺族の気持ちを察しいたたまれない気持ちになるとかです。 もちろん、こういうのはどんな人でも多かれ少なかれあることではあります。 それでも、繰り返しますが「共感性」上位の人は感情に対するセンサーの感度が非常に高いのです。 そういう意味で、自分がどんな人と共に時間を過ごすのか、どんな環境で時間を過ごすのかを自分の出来る範囲でコントロールすることが大事だと思います。 ついつい周囲の人の気持ちを優先してしまい、自分の感情を置いていってしまいがちかもしれないので、意識的に自分の感情をより大事にし、自分にとって居心地の良い環境を自分に選ばせてあげるのも大事なのではないかと思います。 このあたりはもう少し深めていきます。感情の受け取り方をマネジメントする
繰り返し書いているように、「共感性」上位の人は他者の感情に非常に敏感です。 それが強みでもあり、行動の妨げにもなるところでもあります。 それ以前に感情を感じ取りすぎると、それだけで疲弊してしまうこともあると思います。 なので、まずはそこに対する対処を考えることが大事だと思います。 ここでは、二つのポイントを書いてみます。 一つには、受け取る感情の量を自分の側でコントロールするイメージを持つこと。 ここはあくまでイメージの世界ですが、最近で言えば相手の自分の間にアクリル板を置きそれを通すことで相手の感情をマイルドにしてから受け取る感じでしょうか。 あくまでイメージなので自分を透明ドームで覆うでも良いし、とにかく受け取りたくはない感情のエネルギーから自分を守る意識を持つことだと思います。 あるいは、これは「共感性」を上位に持っている方から聞いた対処法ですが、自分と相手の間にペンなどの物体を置くことで視覚的に境界線を引くというのも効果的なようです。 「共感性」上位の人は、恐らくこういうところ(他者の感情を感じ取り過ぎるところ)に無意識でいると、自分の中で相手が感じているであろうことを増幅すらしているのかもしれません。 どういうイメージでも構わないので、自分をネガティブな感情から守る意識を持つとそこに思考が働き、思考が働くとその場の空気にただ飲み込まれるのではなく少し引いた感じで自分のことを客観視できるのではないかと思います。 「あー、今相手の感情に流されそうになってるなぁ」みたいに。 そうすれば過度に相手の感情に飲み込まれ影響されることも少なくなると思います。 そしてもう一つは、自分が受け取っている相手の感情は相手の感情を100%コピーしたものであるかはわからないよね…という事実を常に置いておくということ。 例えば私の場合、今は多少改善しましたが顔の表情が乏しいので感情が表に出にくいタイプです。 むちゃくちゃ喜んでいたとしても他の人から見るとそう見えないかも…(笑) 「共感性」上位の人が表情だけで感じ取っているとは思いませんが、自分自身が感情表現が豊かなだけに私のようなタイプは苦手かもしれません。 いずれにしても自分が感じ取っている相手の感情が本当に相手が感じているものであるかはわからないという事実を常に念頭に置いておくことが大事だと思います。 それがどこにつながるかと言えば、「共感性」上位の人は何をやるにしても他者に迷惑が掛かることを避けたい気持ちがあると思います。 その際にありがちなのが「これをやったらあの人が嫌がる…」的に、自分の中の勝手な想像でブレーキを掛けてしまうことです。 どこまで言っても相手の感情は相手のものであり、相手にしかわからないものです。 ある意味先回りして配慮できるのが「共感性」の強みでもありますが、先回りし過ぎて自分の行動に過度にブレーキを掛けているとしたらそこは少し緩めてみてはどうかと思うのです。 「共感性」は自分にとって低い資質で、しかも論理で考えがちな人なので「共感性」上位の人に響くように書けているかはわかりませんが、自分の「共感性」をより生産的に活かすことを考えるきっかけになると嬉しいです。まず自分を大切にする
「共感性」上位の人の基本的な動機付けは、“誰かのため…”だと思います。 逆に言えば、自分のためだけに何かをやるということに意識が向きづらいかもしれません。 例えば、家に誰かがいるときは手間の掛かる料理を作るなどして甲斐甲斐しく世話をするけれど、自分一人だけだと途端に何もしなくなるとか。 そうやって誰かを喜ばせたいと自然と思い行動できるところが「共感性」の方の強みであると同時に、ここもそれを過度にやり過ぎると自分を疲弊させてしまうことにもつながりかねません。 場合によってはそうやって他人のために一生懸命に何かをやってあげることで疲れ果ててしまい、そういう自分だとなかなか他の人のことを思いやれずに自己嫌悪に陥ってしまうとか、傍から見ると訳のわからないループにはまり込んでしまうことすらあるかもしれません。 そんな風に無意識でいると自分のことを置いていってしまうかもしれないので、“意識的に”自分を大事にすることをやっていくと良いと思います。 まず先に自分の感情を大事にし、疲れた時には休ませ、ねぎらい、いたわり、自分が喜ぶことを自分にさせてあげる。 そうすることで自分が整うと、気持ちにも余裕が出てきてそれまで以上に他者を思いやることができるようになると思います。 端的に言えば意識的に自分ファーストをやってみるということですが、そこに誰かが絡む話しになると「共感性」だけに 「誰かに迷惑を掛けてしまうのではないか?」 と心配になり、なかなかそこに踏み出せないこともあるかもしれません。 もしそうならばこう考えてみてください。 「人は自分が思うほど他の人が何をしようが気にしないものなのかもしれない…」 これは恐らく多くの場合事実です。 だから、時々思い切って自分がそれまでやってこなかったことにチャレンジしてみてください。 それは、自分が疲れているときの頼まれごとを断るとか、自分がやりたいと思っていることに協力を求めるとかです。 そうすると意外と何事もなくうまくいくことが多いことに気づくでしょう。 もっと言えば、常に他者への思いやりを忘れず周囲の人に関わっているだけに周囲の人はこう思っているかもしれません。 「もっと自分のことも大切にしてあげればいいのに…」 とにかく、まず自分を大事にすることが回りまわって周囲の人を大事にすることにつながるという図式を作れると「共感性」はより生産的に活かせると思います。他の誰かの喜びが自分の喜び
「共感性」上位の人は、基本的には穏やかで優しい感じの方が多いと思います。 もちろんその方の雰囲気や佇まいは、一つの資質の特徴だけで決まるものではありませんが。 いずれにしても基本穏やかさを保っている「共感性」上位の方ではありますが、一方でしっかりと厳しさも全面に出すことが出来る人でもあると思います。 それはある意味他者を思いやるからこその厳しさなのだと思います。 例えば、誰かが心無い言葉で他の人を傷つけたとき、それに対して強い憤りを覚えるかもしれません。 あるいは、誰かが自分のことをあまりにもないがしろにしているように感じたら、強い口調でたしなめることもあるかもしれません。 ここでも、「誰かのため…」の動機付けがあれば他の人に厳しい姿勢で向き合うこともできるということだと思います。 話しは変わりますが、上位資質が人間関係構築力に偏っている(相対的に実行力の資質が低い)「共感性」上位の人は“成果を出す”ということに意識は向きづらいと思います。 なので、仕事上で成果を出すことに苦手意識を持っていたりとかするかもしれません。 もしそうであれば、ここでもやはり「誰かのため…」という動機づけをうまく使うと良いと思います。 具体的には、 その仕事で成果を出すと誰の役に立つのか? 誰が喜んでくれるのか? を考えてみることです。 目の前の仕事の成果を出すということにフォーカスするとやる気が出ないかもしれませんが、それをやることが誰かのためになり、誰かを喜ばせるのだと思えれば、目の前の仕事にも意義を見出せるのではないかと思います。 自分ファーストで自分のことを大切にしつつ、他の誰かの喜びが自分の喜びとなるその特徴を存分に生かすことが「共感性」をより生産的に活かすカギだと思います。
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